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ANAオープンゴルフトーナメント 2023

谷原秀人「努力し続けなければ報われない」今季2度目のV会見で名言散見

1打リードで入った最後18番で、谷原秀人(たにはら・ひでと)はバーディパットをそそくさとカップ近くに寄せると、なぜかそのままマークもせずパーパットをタップイン。

本来なら、最後まで待って沈める歓喜の1打を誰より先に入れてしまって、しれっとしていた。


実質の“ウィニングパット”は、大混戦を抜け出した前の17番で奥カラーの6メートルを沈めた時に披露してある。



「ガッツポーズも17番でしてますし。この年になって、もういいかなあ、って」と、ベテランの19勝ともなると、喜びより自虐が勝つ。


「また、まさかですよ。JPCでもそうですけど、そこまで勝てると思ってなくて。詰まったので勝てちゃった。詰まると強いみたいです」と、ハタチの長野をプレーオフで制した6月のJPC=「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」と同様に、伸ばし合いの大混戦なら、勝ち方も心得たもの。


「緊張感は持ってプレーしますけど、昔みたいに震えるだとか、プレッシャーが少ない。そういうのが老いて減ってきているのかな?」と、真顔で言うから面白い。



6月末の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」以来の復帰初戦でいきなり今季2勝目。

2ヶ月の長い夏休みは「家族サービスですよ」と、ほとんどの時間を長男のサッカー観戦や、次女の子守に費やし、ときどき「出稼ぎに」と、8月にちょこっと遠征。

イギリスとスコットランドでアジアンツアー2戦に参戦し、「イギリスのコースも今週の輪厚みたいで、状況が近かった」と土産を帰ってすぐ実戦で活かせるのも、ベテランならでは。


今季2勝で賞金10位に浮上し、「そんなに上がったんですか。申し訳ないですね」と、20代の賞金レースに割って入って、ちょこっと恐縮。

初日の荒天で、34ホールを回って「クタクタ」の2日目も、10時間睡眠であっという間に蘇ると3日目の第3ラウンドではレギュラー賞金2位の金谷(かなや)と、Abemaツアーで賞金1位の生源寺(しょうげんじ)とたまたま一緒になり、たちまち生き生き。


生き生き


2人とも、谷原が地元広島で起ち上げたジュニアスクールの元生徒だそうだ。

「おまえら小学生だったんだよな~って、話してたんですけど、そういう子たちとまだ戦えている」と、自然と喜びがこみ上げてくる。

「僕なんかが逆転できちゃうの?って。もうちょっと、おじさん届かせなかったぞ、というのが欲しかった。勝てて嬉しいけどもうちょっと伸ばせる選手がいてもよかった。みんな練習がまだまだ足りない」と、ちょこっと説教くさく言ってみるけど、反面「今の若い子たちは凄いな」と、日々新鮮。



「ほんと忖度なく、選手ひとりひとり尊敬できる部分があるので、どうやってるのとよく見ますし、若い子たちの入れ替わりが凄いから、自分もここまでやれているのかもしれません」と、44歳の今なお、良いと思えば上下関係なく謙虚に貪欲に、自分のものにしてしまえるのがこの人の強さだ。


「オフはパットの練習はしない。アマチュアの方もそうだと思いますけど、1メートルくらいをやり過ぎると逆にイップスになりますよ。自分も経験があるので、感じたまま。やっても、5~10メートルの上り下りをやるくらい」と、練習ドリルもまたベテランならでは。

「賞金王・・・? 全然ないですね」とガツガツもせず、「目標?ないですね。ゴールがない」とあえて限界を作らず、「ただもっと上手くなりたいだけ」と、終わりのないゴルフ道をひたすら極め続ける。


「よく努力すれば報われるというけれど。それだけでつかめる人は一握り。努力し続けなければ報われない」との名言を残した。

今年2度目のV会見に、強さのヒントが散りばめられた。


主催者、関係者、ボランティア、ファン、輪厚コースのみなさま。あれだけ雨が降ってもまったく水がたまらず素晴らしいコンディションに仕上げていただくために、大変な思いをされたと思います。選手を代表し、感謝申し上げます(選手会長・谷原秀人)

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