中、高校生がV争い中のプロに混じって打つ「ワンオンチャレンジ」の舞台は前日2日目に、小木曽喬(おぎそ・たかし)が池ポチャのダブルボギーを喫した17番のパー3である。
嫌な記憶がよみがえっても不思議でない場面だったがこの日から、同ホールでお客さんと一緒に盛り上がる「ザ・ギャラリーホール」も始まり、ジュニアたちとわいわいしながら、「変に入り込まなかったのが良かった」と、リラックスしてティショットを打つことができた。
「今日は奥に乗せるだけで良い、と思ったのが風と上手く合った」と、強風の読みも完璧。
ピン4メートルに乗っけたチャンスも逃さず、5バーディの「66」は、「ボギーフリーで回れたのにも手応えがある」。
通算14アンダーで、首位と2打差に迫って上がってこられた。
今季は開幕戦「東建ホームメイトカップ」でいきなり5位の自己最高を記録すると、出場15試合で予選落ちゼロ。
賞金28位でプロ9年目の初シードもすでに当確し、「あとは優勝だけ」と意識すればするほど「せっかく上にいても、いつも落ちちゃう」。
ムービングデーと呼ばれる3日目のプレーが課題だったが、この日は「初日の気持ちでやろう」と気負わず上昇し、自身初の最終日、最終組で戦う権利をゲット。
地元愛知県から越境して学んだ福井工業大附属福井高校3年時の2014年に、日本選手としては、当時最年少の17歳115日で「日本アマ」を制した実力はダテじゃない。
昨年、2勝を飾って賞金1位で迎えたABEMAツアー最終戦「ディライトワークス JGTO ファイナル」で、大堀裕次郎に逆転され、土壇場でレギュラー昇格に失敗したのもまた、誰でもが経験できることではない。
「僕がまず、しっかり自分のゴルフをすることが一番」。
悔しい思いの分だけ、喜びは人一倍だ。