欧州・DPワールドツアーで戦う川村昌弘は、福井工業大付属福井高校の先輩。
「川村さんに憧れてプロになり、右も左も分からない時にも凄く助けてもらった」と、今も感謝している。
「おかげさまでシードが獲れました」と、ラインをすると「一度も予選落ちがないのはスゴいよ」と、すぐに返事をくれた。
昨年、出場全試合で予選通過した選手は金谷拓実と小木曽の2人だけ。
また、全予選通過は20ー21年の金谷以来で、2000年以降で言うなら延べ15人目(出場10試合以上で換算)。
さらに、その中でも出場試合数なら小木曽の24大会が最多。
川村がその努力をちゃんと見ていて評価してくれたのが、小木曽には嬉しかった。
ピンチは何度かあった。
中でも、一番シビれたのが11月の「カシオワールドオープン」だ。
次週のシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の出場権もかかっていた状況で、予選2日目に後半15番から3連続ボギーで失速。
カットラインに1打足りない通算イーブンパーで来た最後18番で、辛くも作ったバーディチャンスは2メートルのスライスライン。
「そこまでの流れもすごく悪かったので、切り替えるしかない。最後やるしかないというところで入れられたのは良かった」と、振り返る。
「成長できたな、と実感できる大きな1打になりました」と、ギリギリ52位で決勝進出すると、最終日は13位と盛り返してフィニッシュ。
土壇場で翌週の初切符も獲得するなど会心の締めくくりができたという。
「あの経験が活かされるのが今年と思う」と、小木曽はいう。
「あの1打を活かして去年途中から、ずっと思ってきた初優勝を、今年こそ応援してくださる方々にお見せしたい」とこのオフは、スポンサーなど関係各所も、積極的に伝えて歩いている。
昨年大会で、自己最高の5位に入った開幕戦「東建ホームメイトカップ」や、5月の「中日クラウンズ」など、伝統の地元開催に加えて今年は特に気合いが入るのが7月のタイトル戦「日本プロ」だ。
会場の富士カントリー可児クラブ(岐阜県)は、小学時代からメンバーで、今も年10回はラウンドするホームコース。
「ここで勝てたら人生最高」と、照準を合わせる。
大願成就を目指して2月の第3週には、宮崎で谷口徹の恒例合宿に参加。
「技術的なことはもちろんですが、1年を通してムダな1打を打たないことが大事とアドバイスをもらいました」と、飛躍のヒントを大切に温め開幕を待つ。
「シードは獲れましたけど、優勝するとか、中島、蝉川、金谷のところに行くためにはもっと飛距離が必要」と、昨季の賞金トップ3“NSK”の存在も視野に入れ、3年前から師事する堀尾研仁コーチと解析システム「ギアーズ」を駆使したスイング改良と、筋トレにも拍車をかける。
「去年からまた体重2キロ増えました」と、経過は順調だ。
「初シードまでに長くかかった分だけシードを続けていきたい」と、息の長い選手になることも目標のひとつ。
川村に憧れていた高校時代。福井工業大学1年時にプロ入りし、同じ舞台に立てた喜びもつかの間、欧州ツアーに飛び出していった川村は、今も6季連続のシードを続けており、「本当にすごい」と改めて羨望し、「ずっと追いかけてきましたけど、やっぱり真似できないな、って。別格ですね」と仰ぎ見る大先輩は、昨年末のラインのやりとりの中で「来年、御殿場で会えるのを楽しみにしているよ」と、メッセージをくれていた。
4月の欧州と日本共催「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」は今年、静岡県の太平洋クラブ御殿場コースが舞台。
初出場を果たす大舞台で、約2年ぶりに再会だ。
「僕も川村さんとお会いできるのが今からすごく楽しみです」。
世界の強豪が集う富士の裾野で大好きな先輩に成長を見てもらう。