2001年大会は、藤田寛之とベテラン友利勝良とのプレーオフ。強い風が吹く中、それ まで我慢のゴルフを続けていた友利が最後の最後にボギーを打った。1.5メートルの パーパットがカップに蹴られて決着がついた。勝った藤田はインタビューの席で、 「本来なら、僕がここにいられるはずはない」と首をかしげた。「本当に僕が勝った のかな?」と最後まで半信半疑。その週、ゴルフの調子そのものは、「最悪だった」 と藤田は言った。「球のつかまりが悪くて少しでも油断したら球が右に行っていた」 そんな状態ながらも、この日の難コンディションを制することができたのは、得意の 小技でしのいできたからこそ。「信じられない」を繰り返す藤田の頬を、北海道の夏 風がそっと撫でていった。