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中日クラウンズ 2003

『現状に満足せず、次のステップへ』単独2位の藤田寛之がかかげる大きな夢

パッティングのうまさは、ツアーでもトップクラス。だからこれまで、他の誰かにアドバイスを求めたことなど一度もなかった。
しかし今シーズンに入って得意分野がさっぱり生かせず、苦しんでいた。

前日の水曜日、たまりかねて相談を持ちかけたのが、横田真一だった。自筆のレッスン書を出版するなど、独特のゴルフ理論を展開する横田には、助けを求める選手が多く、先週優勝の宮瀬もそんな「生徒」(横田)のひとりだった。
それに便乗して藤田は、練習グリーンでこう切り出してみた。「最近、どうもフックラインを引っ掛けやすいんだけど、ヨコシンはどう思う?」それに対して横田は、7通り以上もの対処法を、藤田が「かえって混乱してしまうくらい(笑)」(藤田)詳しく丁寧に教えてくれた。
その中から、「これまでの藤田先輩の持ち味を生かして、ボールを地面にめり込ませるイメージで打ってみたら」というアドバイスを取り入れることにした。もともと藤田はストロークのとき、「パターヘッドを地面に長く這わせ、ボールを押さえ込んでカット目に打つ」スタイルだった。
それを、最近は「真っ直ぐに打つことにこだわりすぎて」ラインにうまく乗せられず、カップの手前で切れてしまうことが多くなっていたのだ。
「横田君のおかげで、自分の持ち味を思い出した」そのすぐ翌日に「ヨコシン効果」を発揮した。面白いようにパットを決めて、前半の1番、5番から2度の3連続バーディを含む63。ピンチも復調のパットでしのいで、開幕3戦目にしてようやく納得のいく単独2位の好発進だ。
昨年12月に優勝したアジア・ジャパン沖縄オープンは、今シーズンの賞金ランクに加算されることになっている。つまり、藤田は今季すでに“1勝”していることになるのだが、「今年の開幕2戦があまりにも不甲斐なかったから、0からのスタートです」。現在、すでに獲得賞金1500万円を超えるが、けっして現状に満足するつもりはない。
「できるだけたくさん優勝争いをして、さらに次のステップへのぼりたい」と熱く語った藤田。今季かかげる究極の目標は「米ツアーへの挑戦です」小柄な体に、でっかい夢を詰め込んでいる。

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