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ダンロップフェニックス 2002
「出場メンバーは、僕よりもっと良いゴルフをする人ばかり、でも頑張ろうと…」
今シーズンは、ずっと「息苦しかった」と、渡辺。
パッティングに自信がもてず、「ゴルフはパットから崩れるってこと、痛感させられた。ひどい日々だった」と振り返った。
グリーンを外せばボギー。
乗っても、距離が残れば、またボギー。
バーディチャンスは、ことごとく決まらない。
良いショットは報われず、ミスショットは、そのとおりの結果にしかならない。
「もともと、パットで苦しんだ経験が少なかっただけに、よけいに堪えたね。考えれば考えるほど深みにはまって、やればやるほど、落ち込んでいくばかり。本当に、つらかった」
その苦しみから救ってくれたのは、ほかでもない、デビュー21年の経験だった。
数週間前、「パッティングは方向性ではなく、タッチが大事」と気がついた渡辺は、振りの強弱で距離感を出すことに神経を集中させる、という練習を始めた。
それは非常に感覚的なレッスンで、
「手をどうする、とか、アドレスをどうするとか、けっして理屈じゃなく、より多くの球を転がすことでしか掴めないもの。
そのうち、自分の中にある過去の膨大なデータから、必要なものが引き出されて自分のところに戻ってくるだろうと信じて、ただひたすら練習をするしかなかったんだ」。
その成果で今週は、「とても“自分らしい”ゴルフができている」といえるほどに、回復。再び、戦うことにも楽しみが持てるようにもなった。
スタート前の、「今日は良いゴルフが出来そうな気がする」との予感も的中。
用具契約を結ぶホスト試合で、初日2位タイの好スタートだ。
「今日は途中から、気持ちもかなり攻撃的に、ピンに向かって打てていた。今週は、僕よりもっと、すごいプレーを見せてくれる選手が一杯いるってわかっているけど、僕は僕なりに、明日からも、精一杯のゴルフをするつもりだよ!」
世界のトップに、45歳のベテランが、真っ向勝負だ。