記事
日本オープンゴルフ選手権競技 2007
横尾要が2打差の単独首位キープ
嬉々として横尾は聞いた。
「今日はパープレーでいいんですよね?」。
「バカヤロウ」と、叱られた。
「余裕は一杯あるほうがいいんだ。狙ってけ!」。
4アンダーで回った前日初日。「毎日1アンダーで十分」と踏んだ難コースで思いがけない貯金が出来て、キャディの中居謹蔵さんは、確かに言った。
「明日はパープレーでいいぞ、要」。
その言葉を鵜呑みにして満足していた。
「すみません」と、素直に謝って後半の1番で、残り138ヤードからピッチングで寄せた右手前4メートルを決めた。
660ヤードのパー5で4メートルの下りスライスを沈めてしのぎ、8番で右奥1メートル強のバーディパットをねじこんだ。前日よりさらにひとつスコアを伸ばして通算5アンダーは単独首位キープに、「中居さんがいなかったらこの位置にいない」と、感謝した。
約3時間にも及ぶ中居さんとの「ミーティング」は、やはり昨晩も行われた。
その中身は、一言では言い尽くせないが、中でも刺激になるのは青木功の武勇伝。
中居さんは、長く専属キャディをつとめていた時期がある。
横尾がプロを目指すきっかけとなったのが83年のハワイアンオープン。青木の優勝シーンをテレビで見て感動し、本格的にゴルフに取り組んだ経緯があるだけに、毎晩のように語られる“伝説”は、横尾の闘争心を大いにかきたててくれるのだ。
「キャディをしてもらっている上に、青木さんの話まで聞けて今週はかなりのお得感がある」。そして、さらに日本一のタイトルが獲れればもう言うことなしだ。
最強の助っ人に心身ともに支えられ、初の栄冠へカウントダウンが始まった。