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初シードたちのオフシーズン②<白佳和(はく よしかず)>

昨年11月のカシオワールドオープンはシード権争いの選手たちにとって、事実上の2005年最終戦だった。
その最終日、日本ゴルフツアー機構のスタッフに「おめでとう」と声をかけられた白は、思いがけない行動に出た。

その瞬間、「ありがとうございますっ!!」と大声で言って、涙で顔をくしゃくしゃにして、そのスタッフに思い切り抱きついたのだ。

普段からおだやかで、それほど激しく感情を表すことのない白の性格を知っていただけに、初シード入りへの喜びが、いっそう強く伝わってきたとスタッフはいう。

同大会が始まるまでの賞金ランクは73位。
まさにシードのボーダー線上につけ、予選2日間は薄氷を踏む思いだった。
それでも、「なるべくシード権のことは考えない。コースマネジメントに徹しよう」と心に決めて、戦った。

幸い、会場のKochi黒潮カントリークラブ(高知県)は、出場予選会のファイナルQTや、オフ合宿で回るなど、熟知していたコースでもあった。
地の利を十分に生かしきって、最終日には4位タイ。
初シード入りどころか、あと一歩で優勝も狙える位置につけて、「すごく自信がついた。来年はぜひ、優勝したい」と、夢を膨らませた白。

このオフは、まずは体力強化を重点的に、じっくりと取り組む。
昨年1年間で痛感したのは、トッププレーヤーたちとの飛距離の差。
「それをできるだけ埋めたい」と、意気込む。

「今年のオフは、試合に出られないという不安もなく、やっとスタートラインに立てたという喜びを噛み締めています。みなさんとようやく同じ土俵に立てたので、次はぜひ初優勝を・・・。そのための準備をきっちりと整えて、新しいシーズンを迎えたい」。

約3ヵ月後のツアー開幕を見据えた。

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