記事
アイフルカップゴルフトーナメント 2005
高山忠洋「ただいま!!」
この日水曜日の練習日は、ほかの選手たちから口々に「ナイスプレーだったね!」「お帰り!」などと声をかけられた。
そのたびに帽子を脱いで、元気に挨拶を返した。
「ただいまですっ!」
セントアンドリュースから、貴重な“土産”をたくさん持ち帰った。
その中で、もっとも価値あるものは「メジャーでも、十分戦えるという自信」だ。
プレー内容は、けして満足のいくものではなかった。
出発前から覚悟していたとおり、「普通ではありえない」状況もたくさん経験した。それに対していちいち過剰反応していたら、精神が参ってしまう。だから、思わぬ風にボールを持って行かれたときも、思わぬキックの行方も、「笑ってやり過ごすようにした」と、高山は言う。
「テレビを見てくださった方はきっと、『高山はえらく楽しそうにプレーしてるな』と、思われたかもしれないですけど、僕としては“仕方なく笑っていた”というのが本当のところなんですよ」。
そんな状況ながらも決勝ラウンドに進めたことで、「ショットの精度を上げていけば、トップ10には入れる」という確信が持てた。
なぜ全英オープンが日本選手にもっとも近い、と言われるか。「身をもって体験できた」ことも大きかった。リンクスの風にさらされたフェアウェーは硬く締まり、飛距離が稼げる。
「飛ぶ選手はレイアップするからそんなに差が出ないし、第2打で勝負できるホールがたくさんあると分かった」。
そして最大の収穫は、最終日。同じ組で回ったトム・リーマンからのこの言葉だ。
3番ホールで言われた。「君のスイングはとてもいいね!」。さらにホールアウト後には、「できるだけ早くアメリカにおいでよ」と、誘われたのだ。
メジャーに出場することが、ゴルフを始めたころからの夢だった。それをひとつ叶えたことで、次々とまた新たな夢が沸いてきた。
「僕は欲深いですからね。夢はたくさんあったほうがいいでしょ?!」。
もちろんリーマンの誘いも、うやむやにするつもりはない。
初メジャーで魅了されたのは、なんといってもあの大ギャラリーだ。「僕は調子がいいから。人がいればいるほど乗っちゃう。また、あんなところでプレーしたいから・・・」。
今週からまた、でっかい夢を追いかけていく。