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フジサンケイクラシック 2005

丸山大輔「さすがに、これは逃せない」

この日ただひとり、ボギーなしのラウンド。そびえる富士山からの難解な傾斜も、完璧に読みきった。チャンスパットは言うまでもなく、ピンチのときのパーセーブが素晴らしかった。
4メートル前後のパーパットを、ひとつ残らずねじ込んだ。
そんなこの日のプレーぶりは、最終18番に集約された。
第2打をグリーン奥のラフに打ち込んだ。返しのアプローチは、向こう側のカラーまで行ってしまった。
絶体絶命のピンチも3メートルのパーパットをしっかりと、ど真ん中から決めてみせた。

通算13アンダーは、2位と7打差。
クラブハウスに引き上げてきた丸山に、ほかの選手たちから次々と賞賛の声がかかる。
「13なんてありえない。まるで、ひとりだけ違うコースを回ってるみたいっス!」
通算5アンダー3位タイの谷口拓也は、頓狂な声を出した。

これまで、何度か逃してきた初優勝のチャンス。今年いちばん「情けない」思いをしたのは7月のアイフルカップだ。
初日トップに立ちながら、最終日に「ちゃらんぽらんなゴルフ」をして、結局58位まで落ちた。

女子プロの表純子選手は、11回2位を経験したのちに今年ようやく初優勝をあげた。彼女に比べて、「俺はまだ3回。まだまだ甘い」。
もっともっと悔しい思いをしてからでも遅くない、と言い聞かせたこともあったが、「やっぱり、俺は11回まで行きたくない」と、考え直した。

いまは「勝つためにはどうすればいいか」を、常に頭に置きながらプレーしている。
たとえば以前、同じ組でまわった深堀圭一郎のゴルフ。
「そのとき、たとえ調子が悪くてもくさらずにやる。先のホールとか、相手のことは気にしない」。
深堀を見習って、今週は1ストロークずつ切り離して目の前のことだけに集中するよう心がけてきた。

その末に再び転がり込んできた、絶好のチャンス。
「さすがに、これは逃せない」。
強い決意で、最終日にのぞむ。

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