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藤田寛之現在、ユニシスポイントランキング2位
痛みの直接の原因は、7月の全英オープン。硬いフェアウェーから強振したことで、傷が入ったみられているが、サン・クロレラクラシックは歴代のチャンピオンだ。
それに、「いちど出場したら、どんなことがあっても最後まで戦い抜く」というのがポリシーでもある。
「できれば、試合を途中でやめることは避けたかった・・・」と唇を噛んだ藤田には、ほかにも棄権を迷ったいくつかの理由があった。
それは、米ツアーへの夢と、ユニシスポイントランキングだ。
9月中盤の賞金ランキング10位までの希望者上位3人に、年末に行われる米ツアーのファイナルQスクールの出場権が与えられる。
日ごろからアメリカへの憧れを口にしている藤田は、今年も年頭からその資格での挑戦を目標に、戦っているが、それを間近に控えて国内第2位のビッグマネーを誇るサン・クロレラを欠場することは、相当の覚悟がいったのだ。
また当時、賞金ランク5位につけていた藤田はユニシスポイントランキングではトップに立っていた。
平均ストローク、平均パット、パーキープ率、パーオン率、バーディ率、イーグル率、ドライビングディスタンス、フェアウェーキープ率、サンドセーブ率の9つの部門別ランキングの順位をポイント換算し、その合計によって順位を決定するユニシスポイントランキングは、いわばその年総合的にもっとも優れた選手であったというあかしだ。
どの選手も目の色を変えるその栄誉を、今年初めて受け取るチャンスが見え始めたことでがぜん、藤田もその1位獲りを意識しはじめた。
その矢先のハプニング。
「痛いですね」とうなだれた。
それでも、今ここで無理をしたらこの先、もっと大きな後悔をするかもしれない。
2週間のオフを経て、今月25日には藤田の地元・福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開幕するアンダーアーマーKBCオーガスタから、ツアーはいよいよ後半戦に突入する。
賞金レース、シード権争いと同時に、部門別ランキングの戦いもますます激化することだろう。
「そのためにも、まずはケガを治すことが先決」と判断した藤田は、意を決して会場を引き上げたのだった。
ユニシスポイントランキングでは案の定、サン・クロレラクラシックで2位につけた星野英正にトップの座を奪われはしたが、これから先、再び巻き返すチャンスはまだまだある。
「夏休みにしっかり治療して、また元気に帰ってきます!」。
小さなバイキングは苦難を懸命にはねのけて、まっすぐと目標を見据えている。