記事
つるやオープン 2002
< 上位選手のコメント&トピックス > 「一生、ホールアウトできないような気がした」
17番で、2メートルのバーディパットを決め、単独首位。
途端に、心臓が、激しい鼓動をはじめた。
「え、オレがいちばん? 信じられない…」
良い気分であることには間違いなかったが、それ以上に、猛烈な緊張感が、矢野を襲った。
ティグラウンドに上がるころには、頭が真っ白になって、何も、考えられなくなった。
「自分が、いったい、何をしようとしているのかもわからくなった」という状態で、打ったティショットは、右の林へ。
そこから、4番アイアンでの脱出に失敗。フェアウェーバンカーに打ち込み、バンカーからのショットはトップ。さらに、次のアプローチはダフって乗らず…。
ようやくグリーンにたどりついても、茫然自失。
同組の平塚哲二のラインを、危うく踏みそうになって我に返り、5メートルのダボパットを、どうにかこうにか沈めた矢野は
「たったこの1ホールが、どんなに長く感じたことか…。一生、ホールアウトできないような、気さえしました」と、安堵のため息を、つかずにはいられなかった。
「あんなふうになったのは、生まれて初めてです…」
3日目にして早くも、V争いのプレッシャーを、嫌というほど、味わったのだった。
それでも最終日は、緊張している場合ではない。
今週の矢野の目標は、トップ5以内。
そうすれば、次週のクラウンズにも出場できるからだ。
「なんとしても、出たいんです」と話す矢野。
シード選手さえ、出場できないこともある大舞台への挑戦切符は、勝てば、無条件で、手に入るのだが…。