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アイフルカップゴルフトーナメント 2003

『今日はスタートから“諦めモードのゴルフ”』手嶋多一の勝利の秘訣

5月の中日クラウンズ、マンシングウェアオープンKSBカップ。いずれも最終日を首 位で迎えながら、意気込みすぎて自滅した。「絶対に勝つ」と思いすぎたことが余計 なプレッシャーとなった。
7月の日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップでは、首位でスタートした3日目 に、最終ホールで3パット。重圧で、途端に手が動かなくなった。3位に踏みとどまっ たものの、そのミスを引きずったままのぞんだ最終日は、結局、スコアが伸ばせず4 位に終わっている。
「さすがに、あのときはかなり堪えた。なんであんなつまらないことをしたのかと、 かなりあとまで悔やんでいた」と、振り返る。
それもすべては、「優勝を意識しすぎるせい」と分析した手嶋は、この日の最終日は 「初めから諦めモード」のゴルフ。
「どうせ俺は勝てないのだから、焦らず自分のプレーをしようと決めてスタートして いった」という。
だから、11番で平塚に2打差つけられたときも、ほとんど「もう今日は負けた。平塚 君だろう」と、ゲームの行方を決めてかかっていたものだ。
加えて、この日は4日間ではじめて気温が30度を越え、さらに太陽の照り返しで体感 温度は時間を追うごとに、上がる一方。意識もなかばもうろうとして、ほとんど感覚 が麻痺していたことで、かえって優勝争いのプレッシャーから解放されたといっても いい。
常にマイペースでホールを進むことができたのだ。
そんな手嶋にも、激しいプレッシャーが押し寄せてきたのが本戦の18番。手前から4 メートルのバーディパットだ。
残り190ヤードを6アイアンでチャンスにつけたものの、グリーンに向って歩いてくる 間中、頭はパニック状態だった。
どんなシーンでも、ほとんど表情を変えない手嶋。表面上は平静を装ってはいたが、 入れて優勝、外してプレーオフという状況下で「実は心臓バクバク・・・(苦笑)。 『いったい、どうやってあのパットを打てばいい』と、そればかり考えていた」とい う。

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