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ダンロップフェニックストーナメント 2006

タイガー・ウッズ「本当にごめんなさい・・・」

たまたま、その瞬間を見ていた矢野東は「一体、何が起きたのか分からなかった」と、振り返った。片山晋呉は、ちょうどパットのラインを読んでいたとき。「もし僕に球が当たっていたら・・・世界中でニュースになったかも」と、苦笑した。
欧州ツアー賞金王のパドレイグ・ハリントンは「僕はボールをマークしようと、歩きかけたときだった。それにしても、あれは素晴らしいショットだったね!」。

13番パー4。ティショットで左の林を越えて、グリーンを直接狙えるチャンスホール。
このグリーンでちょうど前述の3人がピンを取り囲むように集まったとき、激しい音とともにボールが落ちてきた。

後続組のウッズが打ったティショットだった。

フェアウェー右サイドにいたフォアキャディは、ウッズの組に向かって黄色の旗を出していた。
「ティショットを刻むなら打っても良い、狙うなら待て」という合図。
しかし、左林向こうの332ヤード先のグリーンしか見ていないウッズには、それが目に入らなかったのだ。

ボールは、片山の立ち位置からわずか80センチ先のグリーンエッジに落ちて、驚く3人のそばを転がってピン奥10メートルで止まった。

「・・・ひとつ間違えば、命に関わるところだった」とは片山。
「お詫びに、ウッズにサイン入りボールをもらおうかって片山さんと話していた」(矢野)とあとから笑って話せるのも、何事もなかったからこそだ。

ハリントンは「・・・それで、彼はバーディが取れたのかな?」と、ウッズのスコアを気にした。
そのホールで2パットのバーディに収めたことを伝え聞き「そりゃ良かった。僕ら以上に、彼のほうが動揺しただろうからね」と、逆にウッズを気遣った。

3人がまだグリーンにいたことに気がついて、慌ててグリーンに駆けつけたウッズは「ごめんなさい!」と平謝り。

今大会過去3回の出場でも、このホールでめったにドライバーを握ることはないという。
逆に、飛びすぎて突き抜けてしまう可能性が高いからだ。

「でも今日は、ちょうど右から風が吹いてきたから大丈夫だ、と・・・。とにかく、本当にごめんなさい!」。
3アンダー3位タイでのぞんだインタビューの席でも、ウッズは謝罪を繰り返した。

大会を主管する日本ゴルフツアー機構のシニアディレクター山中博史は「今思えば競技委員会のほうで、フォアキャディの立ち位置や、旗の示し方が徹底されていなかった。今後は指導を徹底し、スタッフを増員するなどの対策につとめたい」とのコメントを出した。

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