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ANAオープン 2007

篠崎紀夫が3位タイ浮上

身長162センチ、体重は69キロ。「非力」で「飛ばない」部類に入る篠崎には、この日の大雨はことのほかつらかった。それでも、踏ん張らなければならない理由があった。ツアーで初めて同じ組で回ることになったひとつ年上の立山光広は、研修生時代から世話になっているアニキ分。

「外見は怖いけど(笑)あれほど周りに気を遣う人もいない。やさしくて、すごくあったかい人」。
そんな先輩はデビュー15年目にしてシード権もまだ、今年も賞金ランク75位と低迷したままの篠崎をつかまえて、しょっちゅうこぼしている。

「練習ラウンドで、あれだけのゴルフができるお前が試合になるとなぜダメなんだ?」。
それだけに、この日はスタート前から言われていた。
「お前がどんなゴルフをするのか。しっかりと、見といてやる」。
その言葉に「バカなところは見せられない」と、気合が入った。

アゲンストの12番パー4(489ヤード)の第2打。
290ヤードも残ってしまったが「無理をせず、普段のゴルフを心がけた」。
まだ前組がグリーン上にいる間に7番ウッドで残り90ヤードに確実に刻み、ピッチングサンドでスピン量を押さえて手前1メートルにピタリとつけた。
「立山さんに、良いところを見せたい」との一心で、渾身のパーセーブ。

難コンディションの中、1アンダーで回り1打差3位に名乗りをあげて感謝した。
「立山さんには、いつもメンタルで助けられてる。今日も心強かった。安心感がありました」。

しかしその分「立山さんは自分のゴルフに集中できなかったはず」と、詫びる篠崎に立山が捨て台詞だ。
「俺はどうせいつも露払いだよ」。
ホールアウト後のレストランで一足先に席を立った背中に誓った。
「明日は全力を尽くします」。
92年にデビュー戦を飾った思い出の今大会で、せめてトップ5入りして先輩の恩に報いれば、初のシード権も見えてくる。

篠崎紀夫 しのざきのりお
1969年10月24日生まれの37歳。千葉県出身。私立千葉経済高時代はサッカーに夢中だったがある日、父親の勧めで始めたゴルフに「ハマってしまった」。卒業後は、現在の所属先でもある千葉県の『北谷津ゴルフガーデン』で修行を積み、92年にプロ転向。しかし出場権すら恵まれない時代もあり、ファイナルQTランク3位の資格で参戦する今季こそ、初シード入りを実現させたい。
また今年5月には、今大会協賛のゴルフパートナーと用品契約を結んでいるだけに、ぜひここで恩返しといきたい。身長162センチ、体重69キロ。趣味はダーツ。

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