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ファンケル沖縄オープン 1999

手嶋多一、奥田靖己とのプレーオフを制して、ツアー初優勝

 奥田靖己が14番パー4から3連続バーディを奪い、通算14アンダーで単独トップに立った。
 このとき、奥田のひとつ前の組の17番ホールにいた手嶋は、「もうだめだ。また2 位か…カシオ(ワールドオープン、11月)のときと同じかな」となかば、あきらめかけていた。

 奥田と2打差で迎えた18番355ヤードのパー4。「イーグル狙いじゃないとダメだ」と手嶋は、ティショットでドライバーを持っていた。

 だが、この手嶋の挑戦を止めたのが、今季4度目のコンビになるキャディのディーンさん。「NO! 奥田さんはまだ2ホール残っている。ここはひとまずアイアンで刻んでおけ」と譲らない。

 「それで仕方なく1番アイアンで打ったんだ」という手嶋の第1打は、フェアウェーど真ん中。そこから、ピン手前4メートルのバーディチャンスだ。 

 18番グリーンに上る前、リーダーボードを見ると、奥田との差が1打差になっていた。

 奥田は17番で、約8メートルのバーディパットを3パットして、ボギーを打っていたのだ。

 手嶋は、「これを沈めなくては…」と心に決めた。

 全神経を集中させて「フックラインと読んで」打ったパットは、ひっかかってスライスラインを描いていた。一瞬、「しまった」と思った。だが、それが運良くカップイン。

 思わず、手嶋は力強いガッツポーズを突き上げていた。

 通算13アンダーで並び、ほのかな期待を抱きながら、後ろの組の奥田を待った。

 手嶋の待つ最終18番。奥田は、第2打を5メートルのバーディチャンスにつけた。 だが、このパットは入らずプレーオフに突入。

 プレーオフ1ホール目で、奥田より先に3メートルのバーディパットを真中から沈め、手嶋がツアー初優勝を飾った。

「やっと…という感じです」

 今季、「勝てそうで勝てない男」と言われつづけた手嶋は、最後の最後でようやく栄冠を手にした。

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