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「少しでも、地元に恩返しができるように…」(竹本直哉・2006年QTランク23位)
車一台通るのもやっとの道を隔てて、軒を連ねる家々。和歌山県湯浅町で生まれ育った。湯浅小学校で6年生までを過ごした。
中学で奈良県の智辯学園に進み、卒業後と同時にアメリカ留学。
プロデビューを果たした今は、再びふるさとに帰り、転戦の拠点にしているこの街は今でも人々のぬくもりに包まれている。
「いま、こうして好きなゴルフを仕事にできるのも、故郷があるからこそ。何か、恩返しがしたかった」。
優勝賞金の一部を、地元福祉に寄付することに決めた。
12月14日(木)に、竹本の自宅から「車で5分。…自転車でも5分!」のところにある湯浅町の社会福祉協議会で、贈呈式の運びとなった。
今回のチャリティ寄金で『社会福祉法人・湯浅町社会福祉協議会』では、車椅子を購入することに決めた。
また、近隣の身体障害者・自立支援施設『つくし共同作業所』では施設の方々が週末や行事の際に、パンやクッキーを作って販売されている。
「その際に試用する販売テントを購入させていただくことにしました」とは、同作業所の鬼松光夫・施設長と作業所に通う山家未来(つづき)さん。
精神障害者の自立支援施設『ふれあい作業所』では、施設のみなさんがコロッケを作って、湯浅駅前などで販売しているが、折りしも調理器具が不足して困っていたときだった。
「私どもで話しあった結果、出来上がったコロッケを並べる業務用の大きなパットを購入することにいたしました。あれがあれば、もっと作業がはかどるとみんな大喜びです」と言って非常勤講師の久保悦子さんは、作業所の桑原真理子さん、小川雅子さんと笑顔で頷きあった。
社会福祉協議会の太田勲・会長に、「今日はほんとうにありがとうございます。プロの世界は厳しいとは思いますが、さらなるご活躍をみんなで応援しています」とのエールを受けた竹本は、背筋を伸ばしてこれに答えた。
「これからも、もっともっと地元に貢献できるよう頑張ります!」。
今年のファイナルQTでランク23位につけて、来季前半戦にほぼフル参戦できる資格を獲得している。初シード入りと、初優勝にむけてさらに精進を続けなくてはならない。
これから年末に契約先ミズノのイベントなどに参加したあと、アメリカのパームスプリングスに飛び、約2ヶ月間の合宿を張る予定だ。
「ゴルフも体も鍛えなおして来年は、テレビに映るくらいの活躍をしますから!」と、地元・湯浅町のみなさんに約束していた。
竹本直哉たけもとなおや
1976年11月25日生まれ、和歌山県出身。
湯浅小学6年生まで地元・湯浅町で過ごしたあと、奈良県の智辯学園中学に進み、卒業後に母で女子プロの茂美さんの進めで単身渡米。
パームスプリングスの公立高校に進むと同時にゴルフを始め、UCサンタバーバラ校ではゴルフ部で活躍。
ジュニア時代のライバルに、2003年全英オープンチャンピオンのベン・カーチスや、成長株のジェイソン・ゴアがいる。
帰国後、すぐにツアープレーヤーを目指し、5度目の挑戦となる今年のファイナルQTで23位にランクイン。ツアー前半戦でほぼ全試合に出場できる権利を獲得した。
得意なクラブはサンドウェッジ。趣味は読書とギター。 身長173センチ、体重65キロ。