記事
ANAオープン 2007
新旧会長が好スタート
めったに浮気をしない選手には珍しく、「ここ最近、ほとんど毎日のようにドライバーを変えている」。
試合中にヘッドが割れたり「ネックから折れたり」。アクシデントが続いたせいもあるが、そのためにやや低迷続きだった。
「僕は変に感覚が鋭いところがあって。ほんの少し違和感があると、それがすぐスイングに響いてくる」。
しかし、プロトタイプのものに持ち替えてからようやく落ち着いてきた。
「久しぶりに気持ちよく振れている」と、納得顔。
そして、そんな深堀にとって、自身のゴルフ以上に満足なのが旧・会長の横田真一のことだった。
「スイングも良くなってるみたいだし、ゴルフが楽しいと言っていたから」。その言葉どおり、6アンダー2位タイにつけた弟分の活躍が嬉しい。
横田がプロ12年目にして、初のシード落ちを喫したのは会長2期目の昨シーズン。
おまけに起死回生を図ったファイナルQTにも失敗し、出場権すら失ってどん底に落ちたが、その表情はいま、すっきりと明るい。
「ツアーに出られなくなって、逆に良かった」。
空いた時間をクラブ調整や、トレーニングに当てることで「これまでの自分を省みることができて、モチベーションも上がった」と横田はいう。
一からの出直しを誓った今年、主戦場のチャレンジトーナメントで2勝をあげて、現在同トーナメントの賞金ランクは3位。もちろんまだ油断はできないが、来季の出場権が与えられる賞金ランク上位7位に入ることはほぼ確実で、気持ちにも余裕が出てきた。
揃って好スタートを切った新旧会長は、ここ輪厚との相性も抜群だ。
深堀は98年と2005年の覇者で、2005年には62のコースレコードをマークしている。
そして横田は、ツアー初優勝が97年のこの大会。
器用にショットを曲げたり、高いボールでグリーンを狙ったり。職人肌の横田には、このコースがことのほか合っている。
「長いのから短いのまで、いろんなクラブを使って攻められるから大好きなんです」。
昨年5位タイの資格で出場権を得た今年は出発前、愛妻・夕子さんに「今週はなんとなくイケそうなムードがあるよ」と、言い残して家を出てきたほど。
「有言実行できればいいですね」と言って微笑む表情は、昨年とはうってかわって晴れやかだ。