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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2006
手嶋多一「目標は1億円プレーヤー」
それについて以前、こんなふうに言っていたことがある。
「自分のことは、自分にしか分からない。自分にしか解決できない。人の手に、委ねれば委ねるほど僕は不安になるから」。
超・感覚派は、“練習しない選手”としても有名だ。
その傾向は、調子が良いときほど顕著になる。
もちろん、サボりたいからではない。
「自分のフィーリングを大切にしたいから」。
しいていえば、好・不調のひとつの基準にしているのがアドレス。
「目標に対して、常に真っ直ぐ立てているか」。
それさえ確認できていれば、あとは本番。
コースとの戦いに徹するだけでいい。
それを、練習場でむやみに球を打つからいろいろと考えこんでしまう。
「メカニカルにこだわるあまりに、自分の中の良いイメージが消えてしまうのが嫌なんです」。
この4日間、朝スタート前の練習だけにとどめたのもそのためだ。
ショットも、アプローチもパッティングも。ホールアウト後の打ち込みはいっさいしなかった。
その分「趣味の昼寝」に時間を当てた。
プロ13年で培われた本能が、練習の必要はないと告げていた。
特に大会3日目。
朝起きるなり、やけに身体が軽かった。
「ハマれば、相当良いスコアが出る」と確信できた。
それは、これまでの過去4勝でもよぎった感覚。
スタート前、専属キャディの古田土(こだと)和則さんに告げた。
「今日は63を出すよ」。
果たして、予言どおりのコースレコードタイスコアで首位に躍り出たのだ。
目標だった自身初の年間2勝で、獲得賞金も8000万円を超えた。
手嶋がプロとしてひとつの目安にしているのが「1億円プレーヤー」。
それは、日本オープンを制した2001年にも達成したことがいちどあるから、今年は勢いに乗ってぜひ、初の賞金王もねらってみたい。