記事
つるやオープン 2007
高山忠洋「僕はいま、バラの香りがする」
どんなに叩いた日でも、いつも明るく人と接する高山から笑顔が消えた。
2005年のアジアン・ジャパン沖縄オープンでツアー2勝目をあげたあと、オフを利用して参戦した米ツアーで、自分を見失った。
「飛距離や、もっと強い球を打ちたい、という欲が出てきた。そればかりにこだわりすぎて、視野が狭くなっていた」。
心に余裕を失って「空回りしていた」という。
それに伴い、数字ばかりに頼るようになった。
キャディにきっちりと歩測してもらい、第2打の距離を聞く。
もともと、見た目重視で、感覚で打つタイプ。
イメージが沸かずに、ますます方向性を見失った。
「自分らしさ」を取り戻したのは今年になってからだ。
日本ツアーで通算2勝。シードは6年目を迎えたいま、「もう一度苦労を味わってみよう」とオフを利用して、アジアンツアーに参戦。
2005年のアジア・ジャパン沖縄オープンの優勝で得たシード権で、見知らぬ世界に飛び込んだ。
慣れない環境に身をおくことで気がついた。
「技術ばかりを追い求めて、プレーのリズムがなくなっている」。
ショットにしろ、パットにしろ、これまでの間合いで打てていない。
「目の前にあった黒いものが消えて、フワっと視界が広がった感じ」。
悩みもすっかり晴れたいま「僕のまわりはいま、バラの香りがするはずですよ!」。
連日の強風に、週末にはほとんど散ってしまった山の原の桜。
そのかわりに最終日は、高山が良い匂いを撒き散らす。