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ゴルフ日本シリーズJTカップ 1999

4打差2位スタートの細川和彦が、逆転勝利

 首位の伊沢利光と、4打差2位でスタートした細川は「前半3つのバーディを奪うと、折り返しの10番432ヤードのパー4で、3メートルのスライスラインをねじ込み、伊沢を捉えた。
 非常に落ちついたプレーぶりだった。ゆったりとした、テンポのいいスイングで的確にグリーンを捉え、チャンスパットは決して逃さない。右あばら骨付近に、痛みを持つ選手とは思えない、冷静な試合運びだった。

「きょうはアイアンのイメージがとてもよかった。常に優しいのぼりのラインに乗せられた」(細川)

 14番パー4でピン右2メートルを沈めて、通算9アンダー。思うようにスコアの伸ばせない伊沢と、前日の1オーバー9位タイから這いあがってきた片山を振り払う。

 「ボードを見たら(片山)晋呉が上がってきてる。17番のロングも残っているし、先に取って上がられたらつらいな、とは思ったけど、とにかく伊沢さんについていこう、という気持ちだったんです」(細川)

 17番パー5では左手前7メートルのバーディパットを入れて2位と2打差につけると、そこで初めて優勝を意識した、という。

「ようやく、あ、勝てるのかな、と思った。それまで、優勝のことは全く意識していなかったから」(細川)

 18番、224ヤードのパー3で、「このホール、ボギーでもいい」と打ったティショットはグリーン手前のラフ。そのあと、細川はティグラウンドで小さなガッツポーズを繰り出していた。勝利を確信した表情だった。

「でもね、18番で伊沢さんがあんなバーディチャンス(ピン左6メートル)につけるとは思いも寄らなかった。内心、ビックリしましたね。ボクはティショットは乗らなくてもいいから、4番アイアンで手前に落そうと思って打ったんです。アプローチはちょっとライが悪くて、ショートしちゃいましたけど」

 ウィニングパットは、ピン手前1メートル。これをしっかり沈めると、細川は今度は大きなガッツポーズを作り、細川の優勝を祝福するように顔を出した澄んだ青空の下、キャディとしっかり抱き合った。

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