記事

ANAオープン 2008

石川遼は予選落ち

2日間で輪厚を去ったが、たくさんの置き土産を残した。中嶋常幸は今週、30年ぶりにグリップをインターロッキングに戻したが、実はそれは、石川にヒントを得たという。

プロアマ戦の水曜日。
待ち時間があった17番パ−5で、石川のスイングを間近で見たときだ。

それまでにも中嶋の中には、右手の小指と左手の人差し指を絡める握り方に戻すプランはあったというが、ひとつ躊躇する部分もあった。
「でも遼くんのグリップを見て、引っかかっていた部分も解消できることが分った」。
53歳の大英断は、こうして実現された。

いきなりの“原点回帰”も依然として絶好調で、先週までの「オーバーラッピングも忘れるくらい。・・・もう、オーバーラップもしないよ」などと「オヤジギャグ」まで飛び出すほど。

もし勝てば2002年の今大会で、ジャンボ尾崎が達成した最年長優勝に次ぐ記録となり、初日から本人が繰り返し言っている「オールドマン・ドリーム」にも、石川が大きく貢献することになる。

またこの日2日目に、首位タイに浮上した藤田寛之も同組の石川のスイングを参考にしたと打ち明けた。
なんでも石川のショットの中で、特に「インパクト時のスクエアに戻るフィーリングが素晴らしい」と感じるそうで、しかも尊敬する師匠の芹澤信雄のそれに酷似しているという。

毎日、体がへとへとになるくらいに練習場で調整を重ねても、いまだ満足のいくショットが出来ないと嘆く藤田だが、この2日間は「遼くんのスイングを常に見ながらプレーしたら、イメージがとても良くなった」と感謝を寄せた。

「常に他の選手のスイングを目を皿にして見ているようなところがプロゴルファーにはある」とは中嶋。
その実力を認めてさえいれば、たとえ相手が17歳であってもそれは同じことだ。
この2人が揃って優勝争いに加わったのだ。

17歳を迎えてから最初のトーナメントは今季、スポンサー契約を結んだホスト試合でもあり、決勝ラウンドに進めなかったのは非常に残念だが、その存在感を大いにアピールした2日間だった。


関連記事