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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2008

久保谷健一「東には負けたくない」

首位の矢野は、呑み仲間だった。店でしこたま呑んでも飽きたらず、宿泊先の久保谷の部屋をその名前をもじって「ケンケンズバー」と勝手に命名して仲間を引き連れどんちゃん騒ぎ。

言い出すのはいつも矢野だったのに、その先導役がこの夏いきなり深酒を断つと断言。
1日ビールグラス一杯以上はけっして口にしようとはせず、飲み会にもあまり顔を出さなくなった。

そしてその途端、先週のANAオープンでツアー通算2勝目だ。

「それはないよ」と久保谷。
「いつも人に呑め呑めと言っていたくせに・・・。いきなり勝手に禁酒だもんな」。

しかし、おかげで自身の酒量が減ったことも事実だ。
「東がいないと盛り上がらないし、みんな自然と呑まなくなるよね」。

もっとも矢野も証言したように、「久保谷さんは超・ネガティブ人間」。
本音をあまり口にせず「闘志も内に秘めるタイプ」だ。

それだけに、ストレスもたまる。
そのはけ口に「夜は焼酎7杯ほど。僕は呑まないとやってられないから」と、久保谷はいう。
「東は米ツアーに行きたいとか一杯夢があるから(禁酒に)踏み切れたけど。僕にはそういう夢もまったくないしね」。

それよりも、毎年コンスタントに賞金を稼いでシードを守るとか、「1年をうまく乗り切っていくことが僕には大事なんです。プロゴルファーは猟師さんの仕事と一緒なんです。その日その日を懸命に生きてるんです」と久保谷らしい持論を説いた。

ツアー通算4勝。しかも2002年には2週連続優勝を達成した実力者だ。
2003年にはアメリカで戦った経験もあるが、打ちのめされて帰国したあとやや低迷が続いただけに、そんな経験が久保谷から自信を奪ったのかもしれない。

「明日は、優勝とかは考えないけれど、東には負けたくないかな。いま彼は絶好調でしょう? その彼に勝てたら少しは自信になるかもしれない」。
もしかしたら、その心意気が優勝につながるかもしれない。



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