いよいよ、この男も本気モードだ。現在、賞金ランキング１位の金が、ここにきてひとつ、大きな決断を下した。すでにエントリーを済ませていた11月末の米ツアーのＱスクール。来季の出場権をかけた予選会への挑戦を、今年は見合わせると決めた。

渡米すれば、少なくとも終盤は国内のビッグイベントを２つは見送らなければならない。賞金レースも佳境を迎えるこの時期に、日本を留守にすることはできれば避けたい。

自身初の賞金王を狙う身ならば、なおさらだ。
もちろん、将来はアメリカでの活躍を夢見る24歳にとってはそちらも願ってもないチャンスではあるのだが、賞金王になればそれ以上に魅力的な特典もついてくる。

慣例として毎年、賞金王が招待を受けてきた４月のマスターズもそのひとつだ。そのほかの４大メジャーにも、チャンスが広がりそれを逃す手はない。
残すところ、５試合。
「ますます、頑張っていかないと」。
めったに感情を外に出さない静かな男だが、秘めた思いは相当熱そうだ。

• 金 庚泰