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ダンロップフェニックス 2010

池田勇太が2日連続ボギーなしで単独首位に浮上(2日目)

9番で、「フェアウェイとラフの境目から打った第2打を、絶対に打っちゃいけないところに外してしまった」。左に引っかけて、ラフに打ち込んだ。

ピンまで7ヤードしか距離のないアプローチは「どんなふうに攻めるか」。キャディの福田央さんと一緒に思案を重ね、手前2.5メートルを残して「ナイスパー」。

この日、最大のピンチをしのぎ、2日連続のボギーなし。最終18番も、残り228ヤードから、奧6メートルに乗せて2パットのバーディで締めた。

通算9アンダーにして単独首位に浮上して、同組のワトソンに「ナイスプレー」と声をかけられジーンと来た。

「今日は、ワトソン選手はあまり納得できるゴルフではなかったようですが、それでも笑顔で僕に声をかけてくださって。ほんとうに貴重な2日間になりました」と、感極まった。

各ホールを丈高い松林にセパレートされたここフェニックスカントリークラブは、絡みつく洋芝と、日向灘から吹く重い潮風。その先に待ち受けるグリーンはスピードがあり、しかも複雑なアンジュレーションがある。
世界のトップランカーですら、手を焼く難コースで2日間、60台をマークして、「僕に合っているのかもしれない」と、自信も深まる。

今季はひとつジンクスがあって、池田が上位に来たときは、なぜか石川遼が低迷するというパターンが続いている。
今週も確かにこの2日間に限っては石川の苦戦が続いており、「遼はいくつなの?」と興味深そうに池田。
「俺は、他の選手を気にしながらゴルフをしないから、分からない」と付け加えながら、「3オーバー。へえ・・・・・・確かに。今年は全然一緒に優勝争いしてねえなあ・・・」。

そのかわりに現在、池田が約6000万円差で追いかける賞金ランクトップの金庚泰(キムキョンテ)が通算5アンダーの4位につけている。
石川よりも年が近い金とはアマチュア時代からしのぎを削り、「そんなに飛ばないけれど、絶対に曲がらない。アイアンもパットも上手いという印象はその時から持っている」と、その実力を評価しながらも、「ライバルとは思っていない」と、きっぱりと言い切った。

それは、石川に対しても同じ気持ちで、世間では好敵手のようにいわれているが、「悪いけど、俺にはそういう気持ちはないんだ」と、折りに触れて池田は言う。

それは、先の「他人のスコアは気にしない」と言ったのと同じ心境で、コースでは、常に自分自身との戦いに徹するのがやり方だ。
「他人を気にしたり、誰かと競ったりは好きじゃないんだ」と言う池田がしかし、会見の最後でぱっと笑顔を輝かせたのは、ジャンボ尾崎のこの日の成績を伝え聞いた瞬間だった。

このダンロップフェニックスで96年に前人未踏の3連覇を成し遂げて、通算100勝を飾った憧れの人がこの日、6バーディ(1ボギー)の66で回り、2005年大会以来となる決勝ラウンドに進出したことを知って感心しきりでつぶやいた。
「ハンパねえ・・・・・・!!」。
他の誰の存在も意に介さぬが、この人のことだけは特別だ。
「ジャンボさんのスコアは気になる」と、目を輝かせて「たまんねえ、すげえ嬉しい!」。週末にむけて、若大将のモチベーションが、またひとつ上がった。後継者候補の筆頭として、今大会はますます外せないタイトルという思いも高まった。

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