Tournament article
ダンロップフェニックス 2010
池田勇太が首位キープ、2位と3打差
左のバンカーから、奧1メートルに寄せた最終18番のバーディパットは「良く入れた」と自画自賛。
「これだけのコースでは、1日1個や2個のボギーは当たり前だし最後のバーディで、気持ちもすっきり。明日にむけてモチベーションの上がる終わり方。と、そんなふうに思います」と、午後から晴れ渡った宮崎の青空のように、心には一点の曇りもない。
2位との3打差も、プレッシャーの材料にもならない。
「明日は明日で、いかに最後の18ホールを回りきるか。そしてあとは、帰りの飛行機に間に合うか。考えるのはそれくらい。2位との差を考えるより、そちらの方がよほど大事」と、剛胆に笑う。
いよいよ最終日にむけて、「優勝以外に考えることはございません。あとは食って寝るだけ」と、ひょうひょうと笑った。
無類の感覚派はゴルフを始めてこのかた、スイングで悩んだこともない。
「調子が悪くなったらどうするか? ・・・ほっとく! そして良くなるまで待つ。それだけ」。
先週、予選落ちを喫したが、特に落ち込むこともなかった。
「先週、ベロベロだった選手が今週はこれだけ良いわけで・・・。つまり、そういうことなんだよ」と、したり顔で頷く。
対して石川遼は先週、スイング改造に取り組みながら、今季3勝目を挙げた。そして今週も引き続き、試行錯誤が続いているが、池田は首をかしげて「練習場で、どんなに良い球を打ってもコースでそのとおりに打てないんだから。だって、ライとか状況が全然違うんだもの。それならばむしろ、細かいことにこだわるよりも、状況に応じた打ち方を覚えたほうが、よっぽど良くない?」と、持論をぶった。
「でも考え方は、人それぞれだから。そしてスイングも人それぞれ。遼は確かに俺なんかより、よっぽどきれいなスイングをしているよ。だけど俺が、今さら遼のように打とうとしても打てないし、逆に遼が、俺のように打とうとしても無理でしょう。そういうことです」。
何より個性を重視する選手は、あれだけ尊敬してやまないジャンボ尾崎のスイングも、そこだけは真似することもない。誰かにアドバイスを求めることもない。「誰かに聞くのって、嫌いなんだよ」という池田がしいて、不安や疑問をぶつけるとしたら、専属キャディの福田央さんと、専属トレーナーの福田努さんくらいだ。
「だって1年中、見ていてくれるわけだから。それも、いちばん俺に近い場所でね」。
大切な仲間に支えられながら狙う、今季4勝目。唯一、こだわりがあるとすれば、この部分。昨年に引き続き、2年以上連続の年間4勝は、94年、95年、96年、97年の4年連続でなしとげた、ジャンボ以来の快挙となる。
「やっぱり、そういう凄いことをやってきた人なんだと思うし、俺もそれに近いことを、やっていかないといけないよね」と、後継者候補は腕をまくった。
それと、大会は2002年の横尾要を最後に続いている外国人チャンピオン。この流れを止める最右翼はしかし「そんなに長く、勝ってなかったの? それは知らなかった」と、目を丸くしながら「やっぱりね。日本だから日本人が勝ちたい」と、肩にかかった責任と期待も自覚している。