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カシオワールドオープン 2010
2週連続優勝を狙う、池田勇太
「2試合とも勝つつもりでやる」と、言い切った。
「追い抜く立場としては、そこしかない」と、土壇場でそう言える状況にまで持ってきた。
「先週で、チャンスを自分で作った」。
逆転・賞金王のチャンス。昨年、最後の最後に石川遼に譲った初のキングの座には、現在、賞金ランクトップの金庚泰(キムキョンテ)との約4100万円差を考えても「この大会が、いかに大事かは、自分で分かっている。この2試合で、どれだけ自分のベストで戦えるか」と、気合いがみなぎる。
これから厳しい2週間にむけて、険しい顔つきの若大将が、たちまち頬を緩ませたのは、話題が後輩のことに及んだときだ。
予選2日間を同組で回ることになったアマチュアの松山英樹くんは、東北福祉大の後輩だ。
後輩たちが、ツアーに挑戦する際には、スケジュールさえ合えば、必ず練習ラウンドに付き合ってやる面倒見の良い先輩は「試合でうちの学生と回るのは初めてのこと。プロであろうが、アマチュアであろうが、ここでやるからには一人の選手だが、そういう面でも楽しめればいいよね」と、つい目尻も下がる。
ひとつ、大学時代のならわしとして、先輩のナイスプレーには、後輩も大きな声でそれをたたえるという空気があるらしいが、「別に声は張らんでいい。俺が4年生のときもそうだったが、いちいち“ナイスバーディ!”とか、うるさくてしょうがない」と、苦笑いで釘を刺した。
「いつもどおり、ラウンドすりゃあいいんだ。あいつも」と、仏の勇太は後輩の参戦もひとつの刺激に、頂上への険しい道のりを歩いていく。