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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2010
金庚泰(キムキョンテ)は「とても楽しみ」
おのずと、トップ3が最終組で、激突する。
世紀の対決を目前に、大注目の3人が一堂に会して健闘を誓い合った。
真ん中で静かに微笑むのは、2人を迎え撃つランクトップの金庚泰(キムキョンテ)。
「明日は、ほぼ90%のギャラリーが、僕たちの組に注目するでしょう。とても楽しみ」と、いつも変わらぬ穏やかな笑みは、余裕綽々(しゃくしゃく)。
冷静な判断力、持久力、忍耐力は3人の中でもピカイチだ。その一方で、こう見えて実は、負けん気の強さも、一番だ。
シーズン途中に本人も言っていた。「みなさんにはそうは見えないかもしれないですが。僕はほんとは非常に短気な性格でもあります」。
誰よりも熱く燃えさかる闘志。
金の強さはそんな諸々の感情を、心の奥深くにしまったままプレーが出来ることだ。アイアンショットの正確さと、誰もが認める絶妙のアプローチに加え、徹底したセルフコントロールが今季、大躍進の大きな鍵となった。
「昔はけっこう、感情を出してプレーしていたんです。だけど、その直後はますますスコアを崩すことに気がついて」。
どんなミスにも感情を押し殺すことを、自らに課した。
今年は普段なら、母国ではほとんど報道されることのない日本ツアーの模様が連日、メディアを賑わせている。
「僕の成績が良くても悪くても、テレビに出ているようです」と、国中が韓国人初の賞金王の瞬間を待ちわびる中でもノンプレッシャーで戦えるからこの人は強い。
「緊張? いまはまだしません。木曜、金曜はとりあえずリラックスしてプレーするのが一番良い」。
勝てば、無条件で栄冠が転がり込む。「そうなれば完璧ですが、いまはまだ優勝は考えません」。
また、勝てば獲得賞金が2億円を超えるが「そうですねえ・・・。まあ11週間、ずっと韓国に帰っていないので。久しぶりに友達とビリヤードでもしたいですね」と、相変わらず静かに微笑んだ。