Tournament article
サン・クロレラ クラシック 2010
高山忠洋は「妻は今も恋人であり、友達であり…」
英語が堪能な梢さんが通訳として、高山の海外遠征に随行したのをきっかけに、約2年間の交際ののちに、昨年6月に籍を入れたが高山は気が気ではなかった。
「だから成績が悪くなった、と絶対に言われたくない」。
さらにそのオフには、梢さんとの披露宴も控えていたこともあり、高山は焦っていた。
「なんとか新婚後の初Vで、妻を泣かせたい」。
しかし持病の左手首の痛みも加わって、そんな思いは空まわり。
いよいよ、昨シーズンは中盤までシード権の確保すら引っ張って、焦燥感はつのる一方。
折しも、梢さんのお母さんがポツリとこぼした言葉に救われた。
「優勝して式に華を添えたいと思ってくれているんでしょう? でも無理はしないで。別に今年、勝たなくたってもいいじゃない」。
スッ…と肩の荷が下りた気がした。
「確かに、結婚した年だからと、こだわりすぎていたかもしれない」。
そんな夫の葛藤をいちばん懸念していたのも実は、梢さんだった。
「妻のおでこには、見えないテロップが出るみたい。悲しいとか、つらいとか。隠していても、思いが顔に出るタイプで」。
コースでは夫のバーディに足取り軽く、逆にボギーなら一気に重くなる。遠目でも、それがはっきりと分かる。
だからこそ、「俺がしっかりしなければ、と思う」。
落ち込んでいる梢さんに、「大丈夫だよって僕が慰める。片っぽがそんな風だと、片っぽがしっかりする。だからちょうどいいんです」。
新婚から1年を過ぎてもまだデレデレだ。
「彼女は妻であり、恋人であり、友達であり…。彼女になら何でも話せる。話しているだけで元気になれる」。
そんな夫婦の表彰式後の記念撮影は、まるで結婚披露宴さながらだった。
「チューして」との報道陣からの無理なお願いに、照れながらもアツアツぶりを見せつけてくれたのがこちらの写真。
何度も繰り返しになって恐縮ですが、ごちそうさまでした……。