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つるやオープン 2010

藤田寛之が4打差首位に

つるやオープンは初日が雨天中止となり、この日3日目の第2ラウンドは、午後からのスタート。その直前に、「師匠に勇気をもらった」。

今年シニア入りを迎えた芹澤信雄が66をマーク。この日5アンダーは、51位タイで決勝ラウンドにすすんだことを、励みとした。
早朝は、選手たちの吐く息も白くなるほどの冷え込みのまま、1日中気温は上がらず、午後からは強い風も吹き始め、厳しいコンディションの中で、藤田も持ち味を存分に発揮した。

正確無比なショットと好調のパッティングに加え、今季から投入した長尺ドライバーが「炸裂」すれば、鬼に金棒。
6番や9番、特に492ヤードの15番パー5は残り160ヤードの第2打を、7番アイアンで手前エッジまで運んでカラーから2パットのバーディを奪うなど、「かなり飛んでいると思います」と、その効果を実感できるこの日のラウンドとなった。

まだまだ試行錯誤の段階で、不安は残るとしながらも、「だからゴルフへの欲が出なくていいのかも」。ショットの完成を目指し、そこに集中することで、「ここでバーディが欲しいな、とか余分なことを考えなくて済むから」。

この選手がスイングやゴルフについて、悩んでいない日は皆無といっていいかもしれない。
どんなに良いスコアを出した日も、何かしら反省しているのが藤田である。
事実、この日は5アンダーは3位タイからのスタートにも、「予選落ちしたらどうしよう。

今日の風ならそれもある」と、警戒して出ていったほどである。

昨年は自己最高の年間2勝をあげて、賞金ランクも自己ベストの5位を記録。
それでもこの選手には、結果が自信につながるということがない。
「達成感はまったくなく」むしろ、「危機感を感じてしまう」というから驚きだ。

「去年より落としちゃいけない、という思い。前年の成績が良ければ良いほど、その思いが増えていく。周囲はジャンプアップしていくのだろう、と期待して下さるのでしょうが、僕の場合は逆行していく」。

どんなに高みに上り詰めても、満足するということがない。
「昨年の成績も、たとえ賞金王になったとしても、2010年にはリセットされて、誰もが

ゼロからのスタートです」。
40歳を越えた今も、デビュー当時の謙虚さのまま。
彼の場合はそれこそが、成長への原動力。

もっとも本人は、勝てば勝つほど自信を増していく、今の若い子たちが羨ましくて仕方ない。
「たとえば(池田)勇太はトップに立ったら、必ず逃げ切る強い勝ち方。僕はポロっと優勝を逃してしまう弱いところがありますから。僕もプレッシャーの中で、勇太みたいのをやってみたい」。
チャンスは絶対に逃さない。

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