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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2010

今週は俺たちが主役!! ホストプロたちの挑戦

ミズノ主催の今大会は、同社の所属プロにとっては、日本プロや、日本オープンといった、国内のメジャー戦よりも大きな価値がある。
ここで勝つ、または活躍することが、何よりも日頃の恩返しになるからだ。

だから、誰よりも気合いが入る。
今年は4人のホストプロが、その偉業に挑む。
鈴木亨と桑原克典と、手嶋多一と佐藤信人だ。

鈴木が初めてミズノ社のクラブを握ったのは、もう30年以上も前のことだ。中学2年のときに、クラフトマンに作ってもらったという初めてのマイクラブ。鈴木のゴルフ人生は、まさに同社とともにある。

先月、誕生日を迎えたばかりの44歳は、ホストプロの中では最年長。それだけに、この大会で勝ちたい思いは「人一倍」だ。まして、今年は予選ラウンド2日間は、ディフェンディングチャンピオンと回ることが決まった。
もっとも注目を集める組で、「ホストプロとして、大会を盛り上げられるように頑張りたい」と力をこめた。

そして手嶋は昨年、もう5年以上もの付き合いだったエースドライバーを破損してからというもの、すっかりと調子を崩していた。
今年になってからも、それを引きずったままでいて41歳のベテランも、開幕戦からなんと4試合連続の予選落ちを喫して、さすがにふさぎ込みがちだった。

復調の兆しはやはり、ミズノの尽力があったから。
エースドライバーにより近いクラブの完成に力を注いでくださった。
おかげで、ようやく以前と変わらないフィーリングでショットが打てるようになってきた。
「いまはまだ、様子見」とは言いながら、その表情は明るい。

今大会は、7月の全英オープンの予選もかねており、活躍すれば、今年はセントアンドリュースへの切符も手に入る。
恩返しとメジャーの出場権という一石二鳥の大会で「ぜひ上位争いしたい」と意気込む。

佐藤は、先の2人よりややテンションは低いかもしれないが、それも無理はない。
12年間、守り続けてきたツアーの出場権を失ったのは昨シーズン。賞金ランクは92位にとどまったばかりか、予選会のファイナルQTで失敗。
ランク164位は、二部ツアーのチャンレジトーナメントの出番さえ、なかなか巡ってこないありさまだ。

あの谷口徹や片山晋呉らと、賞金王争いを演じたこともある。ツアー通算9勝の輝かしい実績を持つ選手の自信を打ち砕くには、十分の惨状に「たまに試合に出ては、うちのめされて、もうやめようかな、と思ったり。いまひとつ、ゴルフときちんと向き合えていない自分がいて。何より、一番気持が弱ってます」と、言って、無理に浮かべた笑顔に苦悩が滲んだ。。

それだけに、このホスト試合もやる気満々、というわけにはいかないが、「せっかく主催者推薦をいただいたのだから、とにかく4日間プレーすることを励みに頑張ります」と、今大会を復活の足がかりとすることを、静かに誓っていた。

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