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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2011

藤田寛之は、やっぱり「テレビにだけは映りたい」

アラフォーの星が、メジャーの呪縛から解き放たれた。出だしの11番こそ「嫌なスタート」。しっとりと湿った早朝の高麗グリーンは、フィーリングが掴めず1メートルを外してボギーが先行したが焦らない。
さっそく13番で取り返すと、14番で第2打を直接入れるイーグルを奪い、駆けつけた大勢の地元ファンを沸かせた。

15番は左から2メートルを決めると、18番では10メートルをねじ込んだ。

いつも何らかの悩みを抱えている選手は、今週もあいかわらず、「クラブが開くというクセをクリア出来ない自分がいる。今は大きな悪い波の中にいる」と、課題の克服に懸命だが、今年はそこに、ずっと自身初のメジャー全出場という重圧が加わっていた。

日頃から「日本人選手が世界舞台で活躍して、存在を見せつけていくことが大事」と言い、責任感の強さから若手選手にもカツを入れてきた。

「悪い中でも、結果は出さなければいけない」との使命感から、今季前半戦はいつにもまして、眉間の皺が深かった。
「自分自身を急かすというか、厳しく追い込んでいた」と振り返るが先々週は、最終戦の「全米プロ」を終えて、ようやくひと息つけた。

「今までメジャーで取られていた時間。ひとまず、楽になっている自分がいる」と、いったん重荷を下ろして先週は、1週間の“夏休み”。山中湖での「ミニキャンプ」はきつめのトレーニングで汗を流した。
「体の刺激が、いい形で気持ちもリセットされた」。

メジャーを区切りに心も体も整理をつけられたことで、上手にツアー後半戦を迎えることが出来た。この日の好発進につながった。
「・・・まあカッコ良く言えば、そういうことになります」と、おどけて言った。

いまは静岡県に居を構えるが、大会の地元・福岡県出身。毎年、この大会を勝ちたいトーナメントのひとつに数えて来たが、「そういう時代はもう終わりまして」と、笑う。
勝ちたいと意気込むほどに、空回りすることを身を持って経験してきた。
「いまは調子も良くないし、あるがままの自分でやるしかない」と、気負いはないがただ、ひとつだけ希望があるとすれば、「テレビにだけは、写りたい」。

前日水曜日も話していたが、父・寛実さんが「毎年、ここに来るのを楽しみにしていて」。唯一、会場に足を運んでくれるのが今大会。しかし今年は転んで左肩の骨を折り、入院中だ。
「現場に来られないから、せめてテレビで」。地元Vの欲は捨てても、週末の優勝争いには是が非でも加わらなければ。

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