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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011
池田勇太は「やるべきことはひとつだけ」
しかし、1年ぶりに帰ってきた舞台は「本当にそんなことがあったのかと思うくらい」。
以前と何ら変わりなく、選手たちを迎え入れてくれたコースはむしろ、年々難しさを増して、「素晴らしい状態に仕上がっている」。
まずはフェアウェイキープに徹することが出来れば「良いバーディチャンスがついてくる」。しかし、ひとたびラフに打ち込めば「パーを拾うのも厳しい。選手たちの心をくすぐるコースセッティングになっている」。
回れば回るほど、想像がついてくる。「コースのスタッフや、コース管理の方々が、どれほどの努力をしてくだったのか」。
そう思えば思うほど、闘志もみなぎる。
「俺がやるべきことはひとつだけ」。渾身プレーこそがこの非常時にもかかわらず、開催までこぎつけてくださった、主催者への何よりの恩返しだ。
先週はひどい首痛のために、専属キャディの福田央さんが、戦線離脱。東北福祉大の後輩プロ・安本大祐(やすもとだいすけ)にきゅうきょ、ピンチヒッターを頼んだほどだった。
今週もバッグが担げるかどうか危ぶまれたが、幸いにも福田さんは1週間で復帰してきた。再び息の合った二人三脚で「2人、同じ気持ちで戦う」と言い切った。
このツアープレーヤーNO.1決定戦は、本格参戦1年目の2009年は最終日を首位で迎えながら16位に転落。
涙もこぼさんばかりに悔しがった若大将は、その次の日本プロでうっぷんを晴らすツアー初優勝を挙げている。
その後、2年連続で年間4勝を挙げて、石川遼とともに賞金レースの主役を張る活躍の原動力となったのが、2年前の今大会での経験といってもいい。
「確かにそういうこともあったが」と頷きつつ、「今の俺には今年のこの大会で勝つ、そのことしか頭にない」。
勝てば、2週後の全米オープンの出場権が得られる世界ランク50位に入れるかどうかという立場でもあり、「無理やりでもいいから勝つ。そのために、出来る限りのことをやる」といつも以上に威勢がいい。