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サン・クロレラ クラシック 2011

シード復活を目指す井上忠久が3位浮上

この日は67をマークして、報道陣に囲まれた井上の肩を背後から、トントンと叩く選手がいる。「また、お前そんなに喋っていたら、プレッシャーがかかって明日から崩れるぞ」。
プライベートも含めてもう8年の付き合いになる、大先輩の谷口徹だ。
「お前は今日だけだから」との苦言も、優しさの裏返しであることも、知っている。
「分かってるよ!」と、つい普段の親しさで、ため口で答えて追い払いながら、ポツリとつぶやく。
「口は悪いけど、ああいって励ましてくれてるんです。言っていることは的を射ているし谷口さんは、すごく良い人なんですよ」と、笑った。

2007年に初シード入りを果たしながら、たった1年で陥落。昨年は、出場権さえ獲得出来ず、もっぱら地元大阪富田林市の練習場で、レッスンをして食いつないだ。

昨年のファイナルQTランクは31位で、再び舞い戻ってきたツアー。
そんな自分がここ小樽で、普通に回って優勝争いになど、加われるわけがないと、本人も思っているから、谷口の言葉にも腹が立たない。

むしろ、この日はボギーなしのラウンドに、本人が一番目を剥いた。
ピンチらしいピンチは前日初日はダブルボギーに泣いた16番で、2メートルのパーパットをしのいだくらい。

ここ小樽カントリー倶楽部は日本でも、屈指の難コースだからこそ、頭を垂れる。「ものすごいコンディションだからこそ、謙虚になれる」と井上は言う。
ティショットは手堅くフェアウェイに置いて、グリーンの真ん中狙い。

「…と、思いながら打ったのが、ミスショットで逆にピンの方に行っちゃったりして」。ツキもあったという。

ハーフターンで、スコアボードをチラリと見たら、平塚がその時点で通算11アンダーにして、走っていた。
独走状態だったから、意識しないで回れた。「俺にはカンケーねえ」と、順位を意識せずにプレーできたことも良かった。
「これで、平塚さんとスコアで並んだりしていたら、なんか考えちゃったりするんだろうけど」と、カラカラと笑った。
首位と5打差で迎える決勝ラウンド。
「優勝なんか、まったく考えませんよ。今週は謙虚がテーマですから」。
無欲の先に、何が見えるか。

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