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東建ホームメイトカップ 2012

昨年覇者の高山忠洋が、一人立ちの春

この春は、うれしい反面、不安もちょっぴり。「いままでは、1人で100人分くらいの応援をしていてくれたから」。妻の梢さん。たとえついて歩いてくださるギャラリーがちょっぴり寂しい日でも、それを補ってあまりある大声で、盛り上げてくれた。

「でも、今年はそれも望めそうにない」。
というのも、いよいよ待望の第一子を授かって、現在妊娠6ヶ月。8月7日の予定日が今から待ち遠しいのと同時に、「さすがに全ホールは、ついて歩いてほしくない」。結婚してからというもの雨の日も、風の日も、1日1ホールも休まずに、夫のラウンドにつきあってくれたものだが身重の体では、「ついてこられるほうが迷惑」。
プレーに集中しながら妻の体を気遣うなんて、そんな器用なまねはできっこない。
だけど、妻の声援が聞けなくなるのは寂しいし・・・。
不安がる夫に、妻は言った。
「これをきっかけに一人立ちだね」。
結婚してからと言うもの、常に「夫婦二個一(にこいち)」という印象が強かった。
優勝しても、むしろ美人妻にスポットが当たることも多くて、それが梢さんには気がかりでもあった。
プレーも、ファンサービスも。「私がいなくても、がんばってほしい」。開幕目前に、そう言って励まされた。

昨年の賞金ランキングは日本人最高の2位につけ、このオフはその実績で、海外ツアーでの経験も増えた。
「よい経験になったし、レベルアップできたオフだった」。
その分、梢さんのつわりがひどく、例年は特にこの時期に任せきりの食事管理も、思うようにできなかったと悔やむ妻。
「なんか、悪い時期に妊娠してしまったと、そんなことまで反省しているみたいなので。だからこそ、それを払拭する活躍を」と、その点でも気合いが入る。

また、昨年はわずかに叶わなかった獲得賞金1億円超え。
「今年はそこもクリアしてみたい」と、どうしても荒くなりがちな鼻息を、自らいなした。
「僕はこんなふうに気合いを入れすぎると、きまって泥の中をもがくみたいに空回りするから」。
できるだけ冷静に、自然体で。
「ひとつひとつ、目の前の小さな目標をクリアしていく感覚で。そうしたら、いつのまにか大きな目標も達成できているのだと思う」。
そのためにもまずは今週。
自身初の連覇達成に照準を合わせてきた。

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