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東建ホームメイトカップ 2012

2012年のチャンピオン第一号はブレンダン・ジョーンズ

年の初めに頂点に立ったのは、もうすっかり日本でもおなじみの陽気なオージー。2012年の開幕戦で、ジョーンズが逆転優勝を飾った。ボギーなしの9アンダーは62のコース新と、相変わらずド派手なゴルフで、今年20回を迎えた記念大会に華を添えた。

最終日は首位と3打差の6位タイからのスタートに、「勝とうなんて、思ってもいなかった」という第一声が、逆に憎らしく聞こえるほどに、圧巻のゴルフは「パットがとてもよく決まってくれたので」。1番で、いきなり10メートルのバーディトライが入った。
7番は、エッジからやはり10メートルが決まった。11番では思わず悲鳴を上げたくなったというシビアなピン位置にも4メートルを辛くも沈め、極めつけは16番だ。

「三重県から愛知県くらいの距離はあったかな」と、ジョークで振り返った長い、長いバーディパットがカップに沈んだら、もはや勝ったも同然。あとは、18番のグリーンサイドの小山に悠然と腰掛けて、後ろの最終組を待つだけでよかった。

日本に来て早11年。愛称の「BJ」もすっかり板につき、ロープの外からの声援も格段に増えた。37歳は、いつの間にかベテランの域にさしかかり、「今日は自分が何をやっているのかも分からないくらいに集中していたから。スゴイ、ツカレマシタ」とそこは日本語で、年齢による体力の衰えを正直に打ち明けながらも、「今日は石川選手の前で勝てたこともうれしい」。

弱冠二十歳のスーパースターは3年前の夏の試合で激しいバトルを繰り広げて以来、年の離れた良きライバル。この日も最終組の一つ前での直接対決で、自分とは対照的にグリーン上で苦しむ若きヒーローに、いきなり強さを見せつけることもできた。
「ツアーも若い選手が増えて、勝つのがとても難しくなっている。その中でこうしてさっそく勝てたことは自信になる」と、今シーズンもがぜんやる気に。

これでツアー通算11勝のうち、ほぼ半分が4月の大会だ。この人が春に強いのは、オフに故郷でしっかり充電して帰ってくるから。
練習嫌いで知られる。10歳からクラブを握り、本格的にゴルフを始めてから四半世紀も過ぎて、「今さらそんなにしなくても、やるべきことはわかっているから」とはもっともらしい言い訳だが、本音は「ゴルフばっかりだと息が詰まってしまう」。

休みの日は、できるだけクラブを置く。そして、家族と過ごす時間を何より最優先するマイホームパパ。
昨年は、特に7月に授かった次男のカーチス君の夜泣きがひどくて、日本から電話をかけても妻のアデルさんは泣いてばかり。「それを聞くたびに、僕も胸がふさいだ」。ゴルフにも、集中できなかった。
「でも息子もだいぶ成長して、今は夜もよく眠れるようになったし子供もハッピー、妻もハッピー、僕もハッピー。すべてハッピー!」と、この冬はいっそう
家族サービスに徹したおかげで、例年以上にゴルフのほうがおろそかになり、「練習はこの1週間前に始めたばかり」という有り様だ。
それでも今週はオーストラリアを発つ前に、家族に「今年は3勝するよ」と言い残して出てくる自信。そしてさっそくそのとおりに、初戦で優勝報告をしてしまうのだから恐ろしい。

「この勢いで来週も、再来週も勝てるようにがんばります!」。
次週のつるやオープンは過去3勝をあげている相性の良い大会。さらに、続く今季3戦目の中日クラウンズは昨年覇者。こうなると、開幕3連勝の可能性もありかもと、思えてくるからまた怖い。

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