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日本オープンゴルフ選手権競技 2012
藤田寛之が「待ちに待ったメジャー」
日頃から獲得賞金も、賞金ランキングにもこだわりはないと言い続けている男だ。唯一のモチベーションは、世界ランキングの50位内。その先に見えるメジャー舞台だけが、43歳の心を奮い立たせる。
とはいえ今季はすでに3勝をあげて、それに伴いこうして数字にもその成果が現れると、やっぱり「それも悪くはない」。賞金ランク1位の1億円プレーヤーは、「それがひとつ、強い選手の証でもあるし」と、胸を張っての沖縄入りだ。
公益財団法人日本ゴルフ協会(JGA)主催、NHKが共催の日本オープンゴルフ選手権競技は今年、開催77回目にして初めて沖縄県に上陸する。
先週の戸塚から、藤田は直接、飛行機で飛んだ。月曜日には、会場の那覇ゴルフ倶楽部に入ってコースをくまなく見て回った。
「月曜日から回るのは、いつ以来かな。本当に久しぶりです」。
ゴルファー日本一決定戦に、並々ならぬ闘志を燃やす選手の一人だ。
「日本オープンに勝つ、と僕が周囲に言い始めたのは、5年くらい前からだったでしょうか」。
正確にいうと、ちょうどツアーは通算6勝目をあげた2008年大会からだ。
「もう公言しても良い成績と年齢に到達したと思う」と、藤田は言ったものだ。
いつも、池田勇太や石川遼の強気な発言や、威勢の良さをうらやましがっている藤田にとって、狙って勝つということは、超人技に等しい。
「僕はもともと、そういうタイプではないので」。
そんな選手が、あえて「勝つ」と言って、挑み続けているのが今大会である。
「言葉にも、言うにふさわしい時期がある」と藤田はいう。
4年前の6勝から、いまは通算14勝まで勝ち星を伸ばして、海外メジャーでの経験も格段に増えて、心技体ともに充実しきって迎える今年こそ、日本一の称号がふさわしい。
一昨年は、愛知での単独2位に「情けない」と言った。タイトルを逃したことへの自責の念ではない。単独2位にさえ「自分にはふさわしくない」と言った。
同組で回る武藤俊憲が最終ホールで大崩れした。それを見ていただけの藤田の順位は、勝手に入れ替わった。
そういうふうにして手に入れた2位など、喜べるはずもなかった。
そして昨年の鷹之台は初日に9位につけながら、2日目に79を打って予選落ち。週末を待たずにコースを去った。
自身のゴルフの調子の悪さを自覚していたとはいえ、好スタートをきっておきながら「不甲斐ない結果でした」と今も屈辱の記憶を胸に、今週は「待ちに待ったメジャーです」。
沖縄で、43歳が2年分のリベンジに挑む。
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