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関西オープンゴルフ選手権競技 2012
パパ頑張る!! 地元プロの高山忠洋が発奮
ちょうどロンドン五輪が開幕したときだった。
早朝に鳴った電話に気がつかず、昼前の11時にやっと産気づいたと知って、自宅を構える名古屋市内から妻の梢さんの実家がある、静岡県熱海市内の病院にたどりついたときは、すでに夕方の5時を回っていた。
「もう頭が半分出かかっていますよ」。
そう言われて慌てて分娩室に入ってから、10分もしないうちに元気な鳴き声が響いた。
本当は、最初の陣痛から妻に付き添うつもりだった。
「でも、予定より1日早く生まれて・・・」。
心の準備が出来ておらず、戸惑いと、感動と、喜びと、付き添えなかった申し訳なさと・・・さまざまな思いで我が子を抱いた。
「触った瞬間、わぁ〜壊れそう・・・って」。
守りたいものがまたひとつ増えて、我知らず体は動いた。
先週まで2週間のオフは、心ゆくまで娘とふれあう家族水入らずの生活で、リフレッシュを図りながらも「合間に走ったり、体を鍛えたり。いま自分に出来ることをやろうと、自然と気合いが入っていた」という。
現在、賞金ランキング72位(国内のみ)の低空飛行も、昨年の自己最高の2位の「反動」ととらえられるようになった。「より遠くへ飛ぶために、今はより深く沈むというような。後ろを向かず、前を向こうというような。家族のためにも頑張りたい」。
父親の自覚を胸に、気持ち新たに迎えた今週は、衝撃のニュースも飛び込んできた。
和歌山県の星林高校野球部の先輩で、ソフトバンクホークスの小久保裕紀さんが、今季限りの現役引退を表明した。
「今朝のニュースで知ったんです」。
伝説の先輩。
「あまりの練習量に、高校の監督に止められた。プロになってからも、王監督にも練習のしすぎだと注意されたことがあるそうです」。
プロゴルファーの道を選んでからも、分野は違えどいつも、大きな目標だった。
「今季でもうそのプレーが見られない。出来れば僕が引退するまでプロを続けていて欲しかった」と、無理な願いと知りつつも、そう言って残念がった。
先日には小久保さんが、6月に達成した2000本安打の記念のバットが、自宅に届けられたばかり。その矢先の電撃発表に大きな指針を失うようで高山にも寂しい限りだが、それだからなおさらその日までに、吉報を届けてその労をねぎらいたい思いが強い。
「ぜひ、勝ちたいですね」。
大阪府にあるここ泉ヶ丘カントリークラブは、実家のある和歌山市内から、車でわずか40分のご当地プロには今週、特に発奮材料が山とある。