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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2012

藤田寛之が単独首位に

2日目は風が出た。「グリーンも乾いてきて、少しずつ速さが出てきた」。しかもこの日はマウンドのてっぺんにピンが切ってあったり、「難易度が上がってきて、東広野らしさが出てきた」と感じるにつけても、いま最も強い男の腕がなる。

「もともとシビアな戦いを求めるほうなので」。
誰か他の選手と争うというよりも、コースとの格闘に喜びを見いだすタイプ。
難コースに打ちのめされて、ぼろぼろになりながらも、また勝負に挑んでいく。「そういうのがもともと好きなんでね」とさらりと、上位が伸び悩む中で、68で回って首位に立った。

少し前までは、後ろ向きなことしか言わない選手だった。どんなに勝ち星を重ねても、満足できずに無理矢理にでも次の課題を見つけては、また試行錯誤を始める。

「何勝しようが納得できなければ妥協せず、とことん反省して突き詰めてきたのは、成長するため。それをずっと繰りかえしやってきた」。それだからこそ、ここまで強くなってこられたという自負がひそかにある。

しかし、今週ばかりは2週連続の年間4勝目を狙おうかという男が、「たとえばね、7番のティショットはOBすれすれ。左から左に行くミスが出ているんだよ、とかぐちぐちと言ってもねぇ・・・。予選落ちギリギリの選手が言えば、話も聞いてもらえるかもしれませんが、今の自分がそれを言っても・・・、ねえ?」と、笑う。

「周囲は、もうそんな細かいこと考えなくてもいいんじゃない、と言うでしょう」。
そんな回りの目を気にして、「最近は、ゴルフにも確信が持ててきた」などと前向きな発言が増えてきたが、「本当は、したくないことをしてるんです」と、悩ましい胸の内を明かした。

「たとえば今さら僕が、シード権を狙いますというとおかしいのと同じで、言う言葉にもふさわしい時期がある。どう見られているか。それを判断して自分の発する色を変えている」。

そんな藤田の変化に、他の選手も気づいている。
2打差の5位タイにつけた谷原秀人が感心しきりで言った。
「最近の藤田さんは、凄く落ち着いていて、常に余裕がある。勝ちまくっていたころのジャンボさんのような雰囲気がある。今の藤田さんには、ジャンボさんクラスの強さを感じる」。

近頃は、芹澤信雄にもよく言われる。「狙っていけよ、賞金王!」。
あくまでも世界ランク50位内が目標で「そこは自分のモチベーションではない」と言い続けてきた藤田だが、さすがに師匠に言われては、否定も出来ない。
「一応は、はい・・・とは答えているのですが」。
しかしそろそろ、その場しのぎの返事も限界が来そうな勢いだ。そこもまた、周囲の目と期待に応じて、変えていかなければいけない部分なのかもしれない。



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