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とおとうみ浜松オープン 2012

谷原秀人も「あいつと回るのは楽しみ」

この日3日目はベストスコアタイの66にも、何の感慨もない。11番や13番のべたピンのバーディにも「なんとも感じない」と、特別に喜ぶでもなく、この日7つのバーディにも淡々と上がってきた。

「無心でやっているのでね」。

持病の左肩痛で、一度は今季を絶望した谷原だ。痛みが嘘のように晴れて、また今年も戦えるとの手応えも得て考えた。プロ12年目。「マンネリじゃないけど、今週も来週も試合が続く。いかに毎日、ストレスをためずにゴルフが出来るか。考えたらそういう結果になった」と、無我の境地で挑む今年だ。

「プレッシャーも、ないですね」。今年初の最終日最終組に、しいて思うところがあるとすれば「あいつと回れることが、ほんとに楽しみ!」。

11歳も下だが藤本が、母校の東北福祉大に入ってきたときからその存在には一目置いてきた。
「いつでもまっすぐしか飛ばないし、まっすぐしか打たない。ばたばたもしない。攻めないと、あいつには勝てない。本当に上手いからね」。

今年3月の豪州合宿では「フェードの打ち方を教えて欲しい」と言われたから、いくつかアドバイスをしてやったが「教えなきゃ良かった」とは、まんざら冗談ともいえない。

「教えなくてもあいつ、上手いんですけど」。気がついても後の祭りだ。

藤本がツアー初Vを飾るのは、時間の問題だと谷原は思っている。
「1勝すれば、2勝も3勝もする選手だと思っている」。
ゴルフもさることながら、性格も「プロ向き」と読む。
「あいつがマイナスなことを、考えているのを見たことがない。悪くても“まあ、いっか”と思える。・・・といっても、あいつが悪いところも、見たことがないんですけど」。

いつも強気な後輩が、たまに見せる愛すべき素顔。「怖そうに見えるけど、あいつ酒飲ませるとおもしろいんです」と、おかしそうに笑った。先輩に気を遣い、無理して杯を重ね、「昨日も吐いた」と ぶつぶつと言っている。
「もうタニさんとは飲みません!」と宣言しても、誘えばまた嬉しそうについてくる。
そういう人間臭い部分も知り尽くしている。
可愛い後輩との直接対決。
「ほんと、楽しみ」と思うほどに、コースでは淡々とした表情も、その点ではついニヤケ顔になってしまう先輩だった。

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