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東建ホームメイトカップ 2013

ルーキーは4位タイスタート

ルーキーのバッグを担ぐ進藤大典(だいすけ)さんは、そうそうたるトッププロを支えてきた敏腕キャディだ。その人が、松山をしてこう言った。「堂々としているところは谷原さん、ゴルフへの追求心は晋呉さん、ショットのキレは優作です」。

まさに名選手のいいとこ取りだ。たとえそこがオーガスタの舞台でもひるまない。それほどの超・大型ルーキーがはにかんだ。

「しないつもりだったけど。やっぱり緊張していたのかな」。

デビュー初日から、さっそくファンもドキドキさせた。序盤から、ショットが曲がりに曲がって、本人も「あれだけ曲がったらしゃーないかな」と、呆れ返たほど。

それでも、4アンダーで回ってきたのはさすがというしかない。

スタートの10番は、プロとして記念すべき第1打。大ギャラリーが、完全にホールをぐるりと取り囲む中で、注目のティショットは「まっすぐ行ったと思ったけれど」。大きく弧を描いて、左へ。コースを縦断するカート道よりさらに奥の雑草が生い茂る中へと消えた。

すっぽりと埋まってしまったボールは「見えなかった」という。空振りをするかもしれない危険も「まあいいや、と。出せるだろう」と平然と、52度のウェッジで、見事フェアウェイに脱出してみせる大胆さ。
そこからピン1メートルのパーセーブでのっけから、魅せた。

ショットは最後まで「微妙な感じ」で終わったというがその分、課題に挙げていたパットがなぜかこの日は「100点の出来。完全に逆になりました」と、苦笑した。最後の9番も、残り160ヤードから、6メートルのバーディパットで魅せた。
不器用ながら、ギャラリーの歓声にそっと手を上げて応えた。

この日は、選手会長と賞金王との組み合わせ。
藤田寛之は、「松山は相変わらずダイナミック。無い物ねだりだけど、僕もああいうゴルフがしたいな」と、賞金王さえ改めて羨ましがらせたポテンシャルの高さ。
池田勇太は、ラウンド中もそわそわと落ち着かないファンやメディアの今後の対応について、苦言を呈しながらも最後は後輩と揃ってピンそばのバーディで締めて、盛り上げた。

「組み合わせもあり、たくさんの方々に見に来ていただいて嬉しかったので。あのショットがいきなり真っ直ぐ行くとは思えない。これじゃあ期待はできないけれど。明日はもうちょっとましなショットを打って、頑張ってみたいなとは思います」と口調はぶっきらぼうだが、デビュー初日に首位と1打差。さっそくファンの期待を持たせる新人だ。

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