Tournament article

東建ホームメイトカップ 2013

選手会長が公約の首位浮上!

“多度”に来るたびに、いつも思う。「風だけで、これだけ難易度が上がるもんかね?」。もはや名物といってもいい。しかも、この日は前日までの気温もぐっと下がって、手がかじかむほど。冷たい強風が、容赦なく吹きつけ、初日には1日5アンダーが3人も出たコースも「がらっと一変して、今日は粘り合いになった」と池田は言う。

こんな日の多度は、「センスも問われる」。
特にグリーン上は、距離のあるパットなら、当然アゲンストの影響をもろに受けるし、「ショートパットなら、横からの風。傾斜と、風が揃うともう、どうにも出来ない」。

いっときも気が休まることのない神経戦に、前半のインコースこそチャンスにも恵まれずに苦戦が続いたが、これぞ「自然を相手にするおもしろさ」と、そんなことを考えながら、選手会長には難条件を楽しむ余裕もあった。

16番は、左のエッジから、フォローの風を読み切って、パターで沈めた6メートル。
「あのラッキーがあったから、17番も確実にバーディがとれた」と好機を逃さず、右のエッジから13ヤードのアプローチはサンドウェッジでぴたりと寄せた。

同じ2ホールで連続ボギーを打った後輩ルーキーとは対照的に、連続バーディで首位獲りにも成功。難条件に、ずるずるとスコアを崩した松山英樹にも貫禄を示して「今日のイーブンパーは、アンダーパーにも等しいスコア」と納得顔だ。

大嵐の中で、目の前の1打に集中しながらも、選手会長としての気配りは忘れなかった。
「昨日は、骨折した人が1人。今日は足をひねった人が・・・3人はいたかな?」。

前日初日の光景が、目に焼き付いて離れない。
あれは、確か4番ホールだ。
「3番のグリーンから下りてきた女性がズルっ、ドテ・・・。倒れられたまま、動かないんだよ」。
すぐに救助を呼んでと、そばのスタッフに急いで耳打ちをした。

「そういうのを見ると、やっぱり考えちゃうじゃない。大丈夫なのかなって」。
安全対策を徹底してもらうように、スタッフにも改めてお願いをした。

せっかく観戦に来ていただいてもそのさなかに怪我でもされたら、楽しい思い出も台無しだ。
せっかく来ていただいたのだから、笑顔で帰ってもらいたい。
出来れば、忘れられない思い出を持って帰ってもらいたい。

ホールアウト後は、その足で“街頭販売”をかって出た。

今年から選手会が販売を開始したDVDは2012年の全優勝シーンをまとめたもので、売り上げは東日本大震災被災地復興支援チャリティに当てられる。
販売ブースは池田の登場で、一斉に人々が集まってきた。あっという間に笑顔の和が出来た。

近頃の口癖は「まずプロゴルファーとして光らないと、選手会長・池田勇太も光らない」。今週は、こうしてこのまま光り輝き続けるつもりだ。

関連記事