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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2013
シード権争いは、ひとまず決着
手嶋は今大会を、68位の“圏内”で迎えても、45歳のベテランはこれまでにも数々のドンデン返しを横目で見て来ただけに、いざ自分がその立場になったことで、悲壮な覚悟で挑んだ4日間だった。
大会を62位で終えて、結局賞金ランキングも68位のままで今シーズンを戦い終えて安堵と同時に、「反省します」。天才肌は、これまでは競技後の練習もかえって感覚が鈍るからと回避。オフも、スイングのバランスが崩れることを嫌ってトレーニングも避けてきたが40歳を過ぎた頃から、悠長なことも言っていられなくなってきた。
「今年はどこも悪くないのに体重が8キロも落ちて飛距離も落ちた」。また、得意な季節と自負する秋は、ここから調子を上げていくはずのコカ・コーラ東海クラシックあたりから「逆にバタバタ」。
賞金ランキングも60台まで落ち込んだことも、現役選手としては最長の18年連続のシード権を守り続けてきた今までにはなかった転落ぶりで、「この位置まで落ちて、これだけドキドキしたのも初めての経験。体を作りなおさなければいけません」。薄氷のシード権を教訓に、来年は新たな覚悟で挑むつもりだ。
またボーダーライン上から生き残ったのは、今年シード1年目の永野竜太郎も同じこと。それこそ、手嶋以上にまんじりとも出来ないランク71位で迎えた今大会は、予選2日間は生きた心地もしなかった。
それでも、「予選通過は最低目標」と、2日目を8位タイでクリア出来たら「全身脱力」。ひとつ肩の荷を下ろしたら、次は別の力がわいてきた。
今年、初出場を果たした秋の2戦。三井住友VISA太平洋マスターズとダンロップフェニックスは、「今までは、テレビの中だけのトーナメントでした」。特にダンロップフェニックスは、ウッズが来日した際には地元熊本県の自宅から、大人に連れられ観戦に胸を躍らせた思い出も。
「憧れの世界に実際に立って、感動した。もう一度、あのコースに立ちたいと思った」。しかし、いずれの大会も出場人数が限られており、たとえシード選手であっても出られない。いまのギリギリの順位のまま来季を迎えても、2年連続2度目のチャンスはとうてい望めず、「あの試合に出られるように。もっと上のランクで」と、週末は新たな目標が出来た。がぜん決勝ラウンドのシード権争いでも前向きに向き合えた。12位タイで大会を終えて、大会前のランキングから急上昇の62位で2年目のシード権を確保した。
そのほか今大会前は“圏内”のランク72位にいた張棟圭(ジャンドンキュ)が、同73位の“圏外”に弾かれて、代わりに昨年の日本オープンの覇者の久保谷健一が、大会を17位タイで終えて、大会前のランク75位から同70位に浮上。賞金シードを確保したが今年、大きな変動はその2人だけだった。
なお、張は今季のチャレンジトーナメントで賞金ランク5位につけ、来季前半戦の出場権を確保している。