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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2013

ツアー初Vは兄に送る何よりのメッセージ

優勝インタビューは、勝者が報道陣の質問に答えてまず最初に今の喜びを語るのが、通例である。しかし、今年のツアー最終戦は、少し様子が違っていた。席につくなり優作は、まず自分のほうから報道陣に向かって深々と頭を下げて、「最初にみなさんにお礼を言わせてください」。そして涙ながらに「なかなか結果が出せなかったんですけど、悪いときも、良いふうに書いてくださって、本当にありがとうございます」と、言ったのだ。

ツアーきっての優等生である。誰にでも優しく、誰にでも思いやりを向ける。そんな優作だから涙、涙の優勝シーンも、家族やギャラリーのみなさん、関係者はもちろんのこと、表彰式は恒例の全員出席の閉会式のために控えていた29戦士の中にはもらい泣きをした選手もいた。

そして、その中には史上初のルーキーキングの姿も。左手痛に、今大会は無念の欠場をしていた松山英樹も駆けつけ「優作さんはアマチュア時代から親切してくれた大学の先輩。今日は凄く格好良い勝ち方をされて、僕も嬉しかった」とまるで自分のことのように喜び、最後は劇的なチップインパーにも松山は「ハンパない! カッコイイ」と無邪気な、拍手喝采を送った。

もちろん、互いに負けられないライバル同士ではあるのだけれど、優作の今までの苦労や葛藤をみな、そばで見続けてきたからこそ、その首にむしゃぶりついて、選手たちは心からの祝辞を送らずにはいられないのだ。なんとしても優作を、選手みんなで胴上げして、称えないではいられなかった。

宮里家の次男がようやく主役になった。沖縄が生んだ珠玉の兄妹は、妹の藍さんが国内外で24勝。「今までは藍ちゃんのお兄ちゃんと、呼ばれることが多かったけど。今日はほとんど名前で呼んでくださって。本当に力になった」。自分より先にツアー優勝を飾っている兄の聖志は今年はシード落ちで、ここにはいなかった。

優勝スピーチで「いま、ちょうどファイナルQTで来季の出場権をかけて、奮闘している選手たちがいます」とだけ優作は言った。公の場で私的な内容を避けて、兄の名前を出すことこそしなかったが、三重県で行われているファイナルクォリファイングトーナメント(QT)はちょうど8日の日曜日に、予選の最終ラウンドを54位タイで突破した聖志に、何よりの吉報を届けられた。
「聖志には明日、明後日で、もっと上を目指してもらわないと!」と優作。

宮里3兄妹のツアー優勝は、尾崎3兄弟以来の快挙。藍さんも言っている。「私はアメリカで、一人暮らしをしていますけど、メールをくれたり、電話をくれたりする兄たちは心の支え。凄く良い兄に恵まれています」と。
優作と、藍さんのメッセージを受けて、頑張れ聖志。また、いまQTで奮起するすべての選手たちもにも・・・!!

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