Tournament article

関西オープンゴルフ選手権競技 2013

アマチュアの大堀裕次郎さんが単独首位に【インタビュー動画】

今年79回目を迎えた最古のオープン競技で、2日目にして首位に躍り出たのは、まだ21歳のアマチュア。今大会では、実に23年ぶりの快挙だ(※)。
大阪学院大学4年生の大堀さんは、182センチの長身と、体重70キロの華奢な体も52m/sのヘッドスピードで、飛ばしに飛ばす。
ジャングルジムから落ちて、左肘を骨折したのは小6のとき。その後遺症で曲がったままの肘も本人は、「特にゴルフに支障はない」と、圧巻は上がりの3ホールだった。

470ヤードの16番パー4は、ドライバーで残り130ヤードまで飛ばした。計測中のドライビングディスタンスの記録では、322ヤードのビッグドライブ。その分、右の林に曲がったが、前方を木に阻まれた2打目も52度のウェッジで、フライヤーも計算ずくの、渾身のリカバリーショットだ。

2メートルのチャンスにつけた。ややスライスをねじ込んだ。17番のパー5は、右のバンカーから打った3打目を3メートルにつけて、連続バーディ。「もともと左を向いて打つフェードヒッター」。それが行きすぎて、「ときどき、捕まりすぎてそのまま左に行く」と最後の18番は、その悪癖がもろに出て、左の池に入れた。打ち直して3打目は、奥のバンカーまですっ飛んだが、上手く寄せてナイスボギーで上がってきた。

4人兄弟の末っ子は兄の耕太郎さんの影響で、10歳からゴルフを始めた。松山や、石川と同学年は、中学時代にジュニア選抜チームの強化選手にも選ばれて、早くも将来を嘱望されたがその直後に長いトンネルに入る。
大学2年時にはドライバーのイップスに陥り、「ティに立つのも怖い」とOB連発。「ラウンド中に、他の選手にボールを借りなあかんくらい」。それほど深刻な状況に「卒業しても、ゴルフを続けるべきか・・・」。

進路に迷いに迷う大堀さんを救ったのが、師匠と慕うシニアプロの湯原信光だった。昨年の日本プロシニアでバッグを担いだ。それを機に、弟子入り志願。「スイングだけじゃない。プロの醍醐味を何から何まで教えてもらった」。湯原は、大堀さんを褒めて育てた。飛んで曲がるという悪循環も、「お前の飛距離なら、絶対にやっていける」と、太鼓判を押されて「嬉しくて、自信がついた」と大堀さん。

大器が目覚めたのは今年だ。関西アマに勝ち、その勢いで、日本アマを制覇。そして、この日はプロの試合で単独首位と、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。
来季のツアー出場を目指して、今年は予選会のQTに挑戦するつもりだが、「ここで優勝して、なしにしたい」。そんな予定変更なら、望むところだ。つい昨日まで球児が熱戦を繰り広げたばかり。甲子園球場から、車ですぐの兵庫県西宮市出身。ここ地元で大堀さんは、石川&松山に続く、アマチュアVしか見えていない。

※関西オープンで、アマチュア選手が首位に立つのは1990年第1ラウンドの木村憲明さん以来。

関連記事