選手会が2019年から始めたゴルフの楽しさ、面白さを伝えて歩く「ゴルフ伝道活動」は、今までずっと小学校が対象だった。
中学校への訪問は、伝道史上初の試みだったが、さすが西日本最多のゴルフ場を有する「ゴルフのまち三木」である。
ほとんどの生徒さんが、小学時代の課外授業で初心者用具のスナッグゴルフを体験。
その流れで本ゴルフに移行した子もけっこういて、この日のスナッグゴルフ講習会のパター合戦では、なんと伝道史上初の満点を出すグループが出るなど中学生ならではのレベルの高さを随所で発揮。
ガチンコ対決でもプロが完敗した。
「みんな凄く楽しそうに取り組んでくれて。僕も本当に楽しかった」と、翌週に控えた男子ゴルフのシーズン開幕に向けても非常に弾みのつく1日となった。
後半の「夢を持とう」の講演会で、生徒さんたちからこの日イチの拍手喝采を浴びたのは、人生イチの晴れ舞台を告白した時である。
「おとつい(21日)結婚式を挙げてきました」。
新婚の絵里さんとの出会いは、右足のねんざが原因で、シード落ちを喫していた2年前。
「奥さんのどこに惹かれたのですか?」と、生徒さんから遠慮のない質問にも照れずに答えた。
「僕がケガをして、試合に出られなかった時にも支えてくれた。おかげで、今年からまた試合に出られるようになりました」。
お世話になった人はこれまでも山ほどいるが、昨季のABEMAツアー賞金王として、復活を果たす今季、もっとも結果で報いたい1人である。
「20代はマスターズに出たいとか、夢はアメリカツアーとか言ってましたが今は目の前の試合をひとつずつ。支えてくださった方々のためにもまずは1勝したい」と、新婚ホヤホヤの31歳は堅実だ。
甲子園球場近くの西宮市で生まれた。
「阪神ファンで、小学時代は野球とゴルフの二刀流」。
大阪学院大学付属高校にはゴルフの特待生として入学し、「衝撃を受けた」と回顧するのは1年生時の2007年。
全国大会で、よく顔を合わせていた同学年の石川遼が、プロの試合で史上最年少のアマ優勝を達成。
「自分も」と発奮。プロを目指した。
転向直前に大不振を経験し、転向直後は肋骨を骨折するなど苦労は絶えなかったが、不屈の猛練習で何度も乗り越えた。
講演会の質疑応答で「野球の試合で失敗が怖い」と訴えた子。
「分かるよ。俺もそうだから」と、親身な声が出た。
「僕も路頭に迷ったり、諦めようかと思ったこともありましたが死ぬ気で頑張ってみようと練習したら、良い結果を出すことができた」と自らの経験で、新学期を控える中学生たちを鼓舞。
「ゴルフは個人スポーツだから。自分を信じて努力を続けるしかないけど野球はチームメイトがミスをカバーしてくれる部分もある。気持ちを楽に」などと励ましたら、最後は野球でするみたいにみんなで円陣。
「僕も、来週から開幕なので頑張ります。みんなも、新しい目標を見つけて頑張りましょう!」と大堀の発声で、気持ちはひとつに。
「きょうをきっかけに、ゴルフにも興味を持ってくれると嬉しい。近くで試合もあるから観に来て」と、呼びかけた。
先々週には、昨季逆転の賞金王を決めたABEMAツアー最終戦「ディライトワークス JGTO ファイナル(茨城県・取手国際GC)」でいただいた優勝副賞のお米3俵を、西宮市の児童養護施設に寄贈したばかり→→→家族のおかげでミッション成功。大堀裕次郎が地元にV副賞のお米を寄贈
「今年、レギュラーツアーで初優勝できたら、今度は別所中学校にもお米とか持ってきますね」と約束すると、この日2番目に大きな拍手と歓声が起きた。