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中日クラウンズ 2013
単独2位の松山英樹は「出る試合はすべて勝ちたい」【インタビュー動画】
和合に仕返しをした。若さに任せて難コースを攻めに攻めた。
今週、ティショットで初めてドライバーを握った15番。右に曲げた。2打目は深いラフにも、ユーティリティアイアンを、果敢に振りちぎった。
続く16番は、376ヤードのパー4でワンオン狙い。
キャディの進藤大典さんに、一度は止められた。
「刻んだほうがいいんじゃない?」。
いつもは素直にうなずく21歳も、このときばかりは首を振った。
「いいえ、行きます」。
ドライバーを握って豪快に左の林を超えて、右手前のバンカーに落としたのも計算ずくだ。
「グリーン周りなら、どこに落ちてもいいと考えていた。会心のあたり? まあそうですね」と、不敵に言った。バンカーから2メートルに寄せた。晴れやかな笑顔とともに、ガッツポーズが飛び出した。
14番のダブルボギーを契機に、そのあと4連続ボギーで撃沈した前日。「昨日と今日と、別に気持ちは変わらない」と相変わらず言葉少なに語ったが、あの大失速を松山なりに、大いに反省して臨んだ最終日だった。
「昨日のミスがあったので、今日は後半から攻める事だけを考えた」という。
それまでは、刻んだホールでドライバーを多用したのもそのためだった。
17番パー3は、グリーンの奥に打ち込み、下りのフックを決め損ねて悔しさを隠さなかった。
最終18番もドライバーで、攻めた。
約340ヤードものビッグドライブ。ティショットは、グリーンのもうすぐそこまで来ていた。
そして超大型新人は、最後もド派手に締める。
ピン奥8メートルからのバーディパット。最初、スライスしてあとはフックで下ったボールは本人も思わず叫んでいた。「行け、行け!!」。
大歓声とともにカップに転がり込んだ。
劇的バーディに、和合が震えた。
「ギャラリーの方々の歓声で、入りました」と、感謝した。
そのあとすぐに、興奮さめやらぬままにプレーオフの準備にかかっていたから、結局1打差で破れたのは「やっぱり悔しい」。
2週連続優勝の記録よりも何よりも、ただ「この試合で勝ちたかった」と松山は言う。
「そのチャンスがあったのに、勝てなかったのが悔しい。出る試合はいつも、全部勝ちたいと思っているので」。
単独2位に、デビューから3戦はJGTO史上最速のプロ初優勝を挟んでどれもトップ10入りに、賞金ランクは依然として1位。本当に、これからも出る試合はすべて、優勝に絡んできそうな勢いすらある。