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フジサンケイクラシック 2013
甲斐慎太郎は眠れぬ夜も乗り越えて
その夜は「まともに眠れなかった」と、打ち明けた。グリーンの左奥には深い池が、口を開ける。3打目で「トップをしたら池に入る」。それを怖がったら今度は「チャックリ」。いずれにしても、「ボギーを打ちそう」と、再開ホールのことを思えば思うほど、眠れなかった。
それだけに、8時からの競技再開で3打目を1.5メートル弱につけて、このパーパットを拾って本当にほっとした。2位タイのまま、迎えることが出来た第2ラウンドでは2つのダブルボギーを打ったが、その分もきっちり取り戻して「イーブンパーで上がって来られたのは大きい」。
2011年にシード落ちをしたまま今年は32歳を迎えた。若いころは、あちこちに体の痛みを訴える先輩に、「何を言ってんのかな」と、その苦しみは知るよしもなかったが「それがついに自分にも降りかかってきて、またゴルフの怖さを知って、一度落ちて下からまた這い上がることの難しさを知った」と、もがいている。
「今は両ヒジが痛いし、シードを落としたときは、足の裏が痛かった。年々、治りも悪くなるし」と苦笑いで悲鳴を上げつつ、ドン底の中でも「今は前向きに、頑張れている」と笑顔も明るい。
特に、この2日間は、日体大の先輩に挟まれてのラウンド。室田淳と中島マサオ。
「マサオさんは、学生時代にかぶっているし、室田さんは普段から可愛がってもらって先輩というより師匠に近い」と、波乱の展開もリラックスムードの中で、乗り切る事が出来た。
粘って、首位とは1打差。「思ったより上も伸びていないので」。富士のふもとで、復活の大きな足がかりをつける。