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東建ホームメイトカップ 2014
武藤俊憲が首位浮上
つい先月の誘いも、岐阜の養老工場に行くことが決まっていて、断るしかなかった。「谷口さんには“オマエ、ほんまに冷たいな”とか言われましたけど」。恒例の宮崎合宿も、谷口とは完全に入れ違いになってしまったが、その程度のすれ違いで日頃の絆が消えるわけもない。
この日も師匠の声を頼りに回った。
「そんなに下を使ったら、あかんやろう」。いつも谷口徹に言われているセリフが脳裏をよぎる。
武藤はもともとスイング時に下半身が動き過ぎるきらいがあるという。それがこの日はスタートから顕著に出て、「それを抑えようとすると、逆に緩んだり」。
3番の「大だふり」もそう。
また1番では左に曲げて、アプローチも寄せきれずにボギー発進。
「今日はひどい1日になる」と思った。
「でも、悪いなりに、悪いで終わらせることのないようにしよう」と、決めた。
状況を好転させるための秘訣は「まず何が悪いかを知ること。どこが悪いのかを突きとめること」。このオフは、課題のパッティングも同様に、「まず机に向かって一生懸命に勉強することからはじめた」と、この日もラウンド中にもかかわらず、自分の弱点と向き合い、師匠の教えをかみ砕き、尻上がりの66につなげた。
「やっと、自分で立て直せるようになった」と首位タイにのしあがった。開幕早々にツアー6勝のチャンス。練習日はミズノのスタッフが、ラウンドにつきっきりで、ギリギリまで調整に当たってくれた。「どんな小さな希望もすぐに、対応してくれてその通りに仕上げてきてくれる・・・。こんな贅沢をさせてもらってもいいのかな?」。
「いいえ、プロはもっともっと、贅沢を言っていいんです」と即答して、骨身を惜しまず尽くしてくれる人たちのためにも、このまま早速恩返しといきたいところだ。