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三井住友VISA太平洋マスターズ 2014

藤田寛之が単独首位に

とりあえず、また来週!
賞金1位と2位の直接対決も今週に限っては、2位の藤田に軍配が上がった。この日は、最終ホールでとどめを刺した。2段グリーンの下から12メートルのイーグルトライは、「スライスでのぼっていって、最後は微妙に切れるか切れないか」。複雑な傾斜に、あえてライン上にあった、池田のマークはずらしてもらわず打ったのが良かった。

カップの直前で、「勇太のマークにコツって当たった。右に弾かれたことで、うまくラインに軌道修正されて真ん中から入ってくれた」と、いつもは冷静沈着な選手が思わず両手を挙げて、「自分からグータッチをしに行った」という藤田に「後で待ってますとは、勇太は何を待っているのかな?」とトボけつつ、劇的なイーグル締めにはさすがのベテランも、選手会長には感謝しきりだ。

この日は、5番で80センチの絶好のチャンスを外し、6番でも1メートル半を逃して、また7番から4つ立て続けに決めきれずに、「ずっと外してきて、16番では思わず・・・。嬉しいな、やっと入ってくれたと思いましたけど、笑ってました?」と、首をかしげて「ダメですね。笑ってるようじゃ」と、なぜか自分にダメ出しした尻から、最後も珍しく満面笑みで上がってきた。

前日初日こそ、「孔明はバンバンに出してきていた」。かたわらの藤田にも分かるほどに闘志剥き出しだったが、この日はさすがに通算7オーバーまでスコアを落とせば後半からは、諦めの気持ちも加わって次第に口数も多くなり、「全然、当たりません」とか、「こんなにボロボロなのは、久しぶりです」とか。

賞金1位の泣き言。静かに耳を傾けながら、藤田は微笑ましく聞いていた。
「孔明のあの純粋さ。真っ直ぐさは美しく見える」。自分はあれほど全面にやる気を押し出すタイプではないが、一昨年に初めて賞金王を獲って、その価値を知った。「1回目のときより欲しい気持ちは強い。やっぱり凄い勲章ですから」。

翌年明けは、回りの選手も自分が行くところは自然と道をあけてくれるようで、その影響力の大きさを思い知り、孔明ほど全面には出さないまでも、「期待に応えるのもプロの仕事。今は1円でも多く稼いでいくこと」と、孔明との差を少しでも詰めていこうと、藤田もひそかに闘志を燃やしているには間違いない。

大会の地元静岡県は、出身の福岡から移ってきて早22年を経た「第二の故郷。昨日から声援が凄くて」。まして、直接対決のこの2日間に「孔明に負けるな、とか。ちょっとストレートすぎやしませんか?」と、生々しい応援からも背を向けるつもりはない。

そして3日目は、さらなる注目を浴びながら、御殿場を回ることになった。最終組で相まみえるのはバッバ・ワトソン。4年前の全米プロでも同じ組でラウンドしたが、「130ヤードくらい置いていかれた記憶がある。僕が、ドライバーを打って、ユーティリティで刻んでウェッジで乗せたところを、彼は6番アイアンで乗せてきた。・・・何なんですかね?」。
尋常ならざるその飛距離には呆れるばかりだが、「彼の凄いところはあれだけ飛んでも曲がらないところで、アプローチもめちゃくちゃ上手いし、日本人にはない柔らかさ。球筋やボールの高さ。世界のトップの技術やパワーをロープの中で肌で感じる凄く良い機会なので」と、2度のマスターズ覇者との直接対決も、楽しみにしている。

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